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更新 2003年4月26日 土 14:42
米軍機7機が着陸強行/宮古空港
【宮古】在沖米海兵隊普天間基地所属の輸送ヘリ6機と給油機1機が26日午前、フィリピンで行われる米比合同演習「バリカタン03」に向かう途中、給油を目的に宮古空港に着陸した。同空港への着陸は1994年以来、9年ぶり。米軍は23日に県に使用申請書を提出したが、民間機への安全運航への懸念などから県は着陸の自粛を求めていた。県の要請を押し切った飛来となった。
輸送ヘリと給油機が離陸する間の1時間半で同空港を民間機1機が着陸したが、特に支障はなかった。しかし着陸を確認した伊志嶺亮平良市長は「軍用機が土足で宮古の玄関に踏み込んだ」と怒りをあらわにし、空港周辺では「軍事利用反対」と100人余の住民らがシュプレヒコールを上げた。
宮古空港では、この日午前7時14分、最初に空中給油機KC1301機が着陸した。給油態勢を整える中、同7時30分、CH46輸送ヘリ3機が着陸、給油機から給油を受け、同8時に離陸した。続いて同8時6分にヘリ3機が飛来し、同8時26分に、給油機は同8時46分に飛び立った。
民間機では、日本トランスオーシャン航空(JTA)の那覇発宮古行き1機が同8時17分、ヘリに給油中着陸したが、特に影響はなかった。平良市では通常より10人多い職員を空港管理事務所に配置、民間機への配慮を優先し、米軍機の駐留位置を制限した。
米比合同演習は25日から5月9日まで実施され、沖縄からは第3海兵師団、第3海兵役務支援群、第36海兵航空群が参加する。既に海兵隊員約450人が15日夜、那覇軍港から海兵隊の高速輸送船でフィリピンのスービック湾に向けて出発している。
県条例は県空港を使用する場合、運用時間内は空港使用届、時間外の場合は使用許可申請が必要としている。しかし地位協定第5条は「合衆国の船舶、航空機は入港料、着陸料を課さずに日本国の港、飛行場に出入りできる」と定めていて、米軍はこれを理由に着陸してきた。
◇県「要請無視は遺憾」
在沖米海兵隊が26日、宮古空港使用を強行したことについて、県の新垣良光知事公室長は「県の再三の自粛要請にもかかわらず、空港使用が行われたことは遺憾だ」とする談話を発表した。
県は28日に在沖海兵隊基地司令官に対し、宮古空港および今後の県管理空港の使用自粛を強く要請するほか、根本的な問題解決に向けて日米地位協定の見直しを引き続き、日米両政府に対して粘り強く働き掛けていく方針だ。
公室長談話は、米軍機の民間空港使用について「これまでも県民に大きな不安を与えており、民間航空機の安全運航の確保に支障が生じるのではないかと懸念している」と指摘。「問題の根本的な解決には(米軍の自由使用を認めている)日米地位協定第5条の見直しが必要と考えている」としている。
◇「島の玄関に土足で」/市民団体、抗議の拳
【宮古】激しい音をたて米軍機が宮古空港に着陸してきた26日午前、同空港内では管理事務所職員らが対応に追われ、周辺では市民団体らが「民間空港の軍事利用は許さない」と抗議集会を開いた。空港に訪れた民間機の乗客らもけげんそうな表情で米兵らの作業を見詰めるなど、空港は騒然とした雰囲気に包まれた。抗議する住民らは「軍用機が土足で宮古の玄関に踏み込んだ」「米軍は今すぐ出て行け」と怒りをあらわにして訴えたが、それもかき消すほどのごう音が響いていた。
宮古空港には午前6時半すぎ、宮古地区労組協議会のメンバーをはじめ、市民団体などが次々と駆け付けた。伊志嶺亮平良市長も早々と姿を見せ、先頭で米軍機の着陸を待ち受けた。
午前7時を回り、空港管理事務所の職員らが緊張した表情で見守る中、最初にKC130空中給油機1機が、続いてCH46輸送ヘリ6機が飛来して来た。空港の外にいる住民らはフェンス越しに着陸を確認すると、シュプレヒコールを繰り返し、「このようなごう音を聞かない島にしよう」「平和な宮古を守っていこう」と拳を突き上げた。
伊志嶺市長は「米軍機には恐怖を感じる。この空港は戦争するための訓練に使うものではない」と訴え、宮古地区労の長崎富夫議長も「軍事利用を絶対に許さない」と強調した。城辺町から抗議集会に参加した砂川盛栄さんは「住民のための空港で、米軍の利用は嫌だ」と批判した。
給油中の米軍機の横に到着した民間機の乗客らは一様に驚いた様子で、那覇市の柳瀬あさかさんは「新聞で飛来は知っていたが、やはりびっくり。異様な印象を受けた」、仕事で来たという40代男性も「米軍機がいることはとても違和感がある」と戸惑いを見せた。
宮古では一昨年、昨年と米軍機が同様の目的で伊良部町の下地島空港を使用した。昨年の飛来で同空港には復帰後52回目の飛来となり、宮古では5つの市民団体を中心に「米軍の使用に反対する郡民の会」を発足させ、抗議していた。
◇使用拡大を懸念/地位協定改定で歯止めを
【解説】県や地元が求めていた自粛の声を無視する形で、在沖米海兵隊は宮古空港への輸送ヘリなどの着陸を強行した。宮古と八重山の民間空港は2000年から、今回と同様に米比合同演習「バリカタン」に参加する海兵隊ヘリの給油拠点として毎年使用されており、県内の民間空港が米軍による恒常的な作戦行動の展開拠点として位置付けられていることは疑いようのない事実だ。
今回、海兵隊は兵員やヘリなどの装備品の大半を別の方法で輸送したと説明している。中型のCH46輸送ヘリを着陸させた理由については、大型ヘリは自力飛行、小型ヘリは船舶輸送が可能だが、中型は地上での途中給油による自力飛行の道しかないためとしている。
「自粛を求める県の要請を最大限に配慮し、民間空港の使用を避けるすべての可能性を模索したが(同機種だけは着陸以外に)方法はなかった」と海兵隊は説明し、同機種に限って民間空港使用が不可避だとの立場だ。
しかし海兵隊はこれまで、自力飛行や船舶輸送が可能な大型のCH53ヘリや小型のAH1、UH1ヘリを給油目的で波照間空港と下地島空港に強行着陸させている。当時、輸送船がないことを理由に挙げていたが、自力飛行ができる大型ヘリの着陸説明にはならない。
こうした状況を考えると、自粛を重ねて求める県の立場に次第に配慮する米軍の姿勢もうかがえるが、声を上げなければ民間空港の使用を拡大させる懸念があることをも示す。日米地位協定第5条で米軍の自由使用が認められている以上、改定以外に歯止めの方法はない。
(政経部・松永勝利)
写真説明:民間機が着陸する横でCH46輸送ヘリに給油するKC130空中給油機(手前)
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2003/2003_04/030426ea.html