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North Korea
U.S. Policy
Updated: May 8, 2003
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ブッシュ政権の北朝鮮に対する政策はどのようなものか。
ブッシュ大統領は、北朝鮮の核危機に対しては外交的解決を追求すると繰り返し述べている。彼はまた、北朝鮮との対話は多国間で行われるべきであり、アメリカは北朝鮮の核武装解除のために見返りを提示するつもりはないと主張している。この発言が現実に何を意味しているかを理解するのは難しい。政権内で、最良のアプローチは何かをめぐって意見が分かれているからだ。
政権内の対立はどのようなものか。
報道によれば、ペンタゴンと国務省の役人は、外交による解決をどの程度まで求めていくべきか、どの段階で北朝鮮に対してより強硬な態度をとるべきかをめぐって対立しているようだ。この議論は、政策全般をめぐる国務省と国防総省の対立の一部であり、両省はイラク、イラン、シリア、中東全体に対する政策においても対立している。
国務省の姿勢はどのようなものか。
国務省は概ね交渉による問題解決を望んでいる。国務省は、交渉による解決の方が他の方法よりもリスクが少ないし、少なくとも強硬路線をとる前にまず交渉によって北朝鮮の意図を確認しなければ、東アジアの同盟諸国からの支持が得られないと主張している。
国防総省の主張はどのようなものか。
国防総省は、北朝鮮が援助の見返りに核開発を凍結することを定めた一九九四年の枠組み合意を無視していることを根拠に、平壌との交渉は無駄であり、むしろ危険を伴うと考えている。国防総省は、孤立し、貧困に苦しむ北朝鮮に核開発を断念させるため、経済的圧力をかけるべきだと主張している。
経済的圧力はどのような形をとるだろうか。
近隣の同盟諸国とパートナーが北朝鮮への援助・貿易をやめるよう説得すること、北朝鮮の輸出を妨害するための海上封鎖などが考えられる。
北朝鮮は何を輸出しているか。
ズワイガニなど海産物の日本への輸出は北朝鮮の数少ない合法的な輸出だ。アメリカなどが危惧しているのは麻薬や弾道ミサイルの輸出だ。報道によれば、北朝鮮は麻薬貿易によって年間一億ドル以上の収入を得ているし、イラン、シリア、パキスタン、イエメンなどの国々に弾道ミサイル技術を売っているようだ。北朝鮮はまた、偽造通貨の製造を大規模に行っている。これらの輸出から得た利益の大部分がミサイルや他の兵器の製造のために使われており、現在北朝鮮は世界第四位の武装国になっている。「武装第一主義」政策を公式にとっており、軍備に過度の支出を行っているために、北朝鮮ではエネルギーと食糧の不足が深刻化している。北朝鮮は中国からの援助に大きく依存しており、中国からの援助でエネルギー需要の七〇%、食糧需要の三〇%がまかなわれている。
どちらのアプローチが優勢か。
当初、ブッシュ政権は平壌が核兵器を放棄するまで北朝鮮と対話を行うつもりはないと主張していた。しかし、東アジアにおけるアメリカの重要な同盟国である韓国と日本が、北朝鮮の交渉の意思を確かめることを望んだため、ブッシュ政権は多国間対話の実施に同意した。四月後半、コリン・パウエル国務長官の尽力によって北京での米中朝三カ国協議が実現した。これは二〇〇二年十月末の核開発疑惑発覚以降初めての米朝高官会合となった。
しかし同時に、ブッシュ政権はまったく異なるアプローチも考慮に入れているかもしれない。ニューヨーク・タイムズは五月四日、ブッシュは北朝鮮に核開発を断念させる努力は放棄し、代わりに平壌が核兵器、核分裂物質を外国、テロ集団に売るのを防ぐことに焦点を置こうと考えているかもしれないと報じている。
東アジアの同盟国はどのアプローチを望んでいるのか。
韓国、日本、中国、ロシアはワシントンに平壌との直接対話を通して平和的解決を目指すよう求めている。これらの国々は北朝鮮に大規模な経済制裁を科したり、輸出を封じ込めたりすれば、北朝鮮の経済は崩壊し、何を考えているのか予測できない北朝鮮の指導者、金正日が軍事的報復を試みるのではないかと危惧している。
北京で行われた三者協議では何が起きたのか。
北朝鮮の外交官が、平壌はすでに核兵器を少なくとも一発持っており、さらに数発分の核関連物質を製造していると明言したと報道は伝えている。アナリストの中には、北朝鮮の三者協議代表である李根(リ・グン)の曖昧な発言から、平壌には核兵器の実験・輸出を行う用意があると分析する者もいる。しかし米中央情報局(CIA)はまだ北朝鮮が本当に八千本の使用済み核燃料棒から兵器級プルトニウムを製造したことを確認していないし、北朝鮮の主張の真偽を疑う専門家もいる。平壌は好戦的なレトリックを使う傾向があり、北朝鮮は対話における自国の地位を高めるため、あるいはアメリカの軍事行動を抑止するために自国の核能力を誇張したのかもしれない。北朝鮮はまた、会議で妥結案を提示している。これは平壌はまだ対話の継続を望んでおり、一定の条件の下では核開発計画の放棄に応じるかもしれないことを示していると捉える専門家もいる。
北朝鮮の提案はどのようなものか。
北朝鮮はアメリカが援助を提供し、北朝鮮の安全を保証した後なら核兵器開発計画の放棄に同意するという提案を行ったようだ。現在アメリカと同盟国はこの提案をめぐって議論を続けているが、パウエル長官は、「この提案は我々が望むような結果をもたらすことはないだろう」と述べている。アメリカと同盟国は対案の作成を行っているかもしれない。北朝鮮もアメリカも、相手がどれほど柔軟な姿勢をとる用意があるか把握できていないようだ。
ブッシュ政権の三者協議に対する反応は。
ブッシュ大統領は北朝鮮の態度は「恐喝」だと述べている。北朝鮮の核保有明言によって対話が時間の無駄であることがますます証明されたと主張する高官もいる。その一方で、パウエル国務長官は、北朝鮮は核実験の実施という脅しはしておらず、対話は「有意義」だったと述べている。
ブッシュ政権は国連による制裁を求めるだろうか。
ブッシュ政権は北朝鮮の近隣諸国に援助・貿易の削減は求めているものの、現時点で国連によるさらにきつい制裁までは求めていないようだと多くの専門家は指摘している。四月、国連安全保障理事会は北朝鮮の核不拡散条約(NPT)脱退をめぐって非公式協議を行ったが、この問題に対して「懸念を表明する」に留まった。これは拒否権を持つ中国とロシアが、安保理が非難表明や制裁などの形で関与することに反対したからだ。北朝鮮は「制裁は戦争開始の宣言と同じことだ」と述べている。
ブッシュ政権は軍事行動という選択肢も考慮に入れているだろうか。
ブッシュ政権内の強硬派の焦点も当面、制裁と海上封鎖に絞られているようだと専門家は指摘している。ブッシュ大統領も、北朝鮮を攻撃する意思はないと主張している。朝鮮半島で戦争が起きれば、特に韓国と日本が甚大な被害を被る可能性があるからだ。しかしブッシュ政権はこれまで軍事行動の可能性も除外しないよう心がけてきたし、報道によれば、不測の事態への対応計画も立てているようだ。
北朝鮮問題をめぐるブッシュ政権内の意見対立は解決可能だろうか。
多くの専門家は困難だろうと述べている。米外交問題評議会(CFR)の戦略政策研究グループ議長であるリー・フェインスタインは「国務省と国防総省の意見対立は相当に深刻だ」と指摘している。しかし一方で、今後数週間の間に両者の意見対立は和らぐかもしれないと指摘する専門家もいる。
ブッシュ政権内の妥協はどのようなものになるだろうか。
北朝鮮の近隣諸国、特に中国の支持を得るために、国防総省は北朝鮮との新たな多国間協議の開催に同意するかもしれないと、専門家は指摘している。強硬路線派の中には、新たな協議を行っても北朝鮮は北京での三カ国協議と同じように「恐喝」を繰り返すだけであり、合意達成は不可能で、これによって北朝鮮に経済的圧力をかけることに対する国際的支持を集めることが可能だと予測する者もいる。
次に何が起きるだろうか。
共同路線をとるため、ブッシュ大統領は五月十五日に予定されている韓国の盧武鉉大統領との会談、五月二十二日に予定されている小泉純一郎首相との会談が終わるまで、次の行動に関する決定を遅らせるだろうと専門家は指摘している。アナリストの中には、アメリカはもう一度、北朝鮮、中国との三カ国協議を行おうとするかもしれないし、あるいは日本、韓国を含めた五カ国協議を行うよう主張するかもしれないと指摘する者もいる。
中国が北朝鮮に圧力をかける可能性はあるか。
よく分からないが、専門家の中には、中国がすぐに北朝鮮に圧力をかけることはないだろうと指摘する者もいる。中国は北朝鮮の核兵器保有によって日本まで核兵器保有を考えるようになるのではないかと恐れている。しかし北朝鮮の経済状況が緊迫すれば、何万人もの難民が北朝鮮から押し寄せてくる可能性があるため、北京はこれまでも援助、貿易の削減は拒んできた。二月後半、中国は三日間北朝鮮への石油援助を削減した。これによって平壌はアメリカとの二カ国対話の要求を断念し、北京での三カ国協議への参加を受け入れる決断をしたのかもしれない。しかし北朝鮮が核保有を認めたという報道にもかかわらず、中国は北朝鮮から核保有を認める発言は聞いていないと述べ、北朝鮮の核開発凍結の提案は危機解決に向けた大きな前進だという点を強調している。
北朝鮮問題について詳しく知りたい方は
フォーリン・アフェアーズ・コレクション特別版『アメリカと北朝鮮―外交的解決か武力行使か』(朝日新聞社刊・1200円)
http://www.foreignaffairsj.co.jp/NorthKorea/NKToday.htm