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2人のイラク将校が語る軍と体制の崩壊(仏ル・モンドより)
http://www.asyura.com/0304/war32/msg/899.html
投稿者 さすれば 日時 2003 年 4 月 25 日 05:22:46:

少し古いが、『ル・モンド』の記事(4月21日)を紹介する。最初からイラク軍が堕落していて、フセイン大統領に対する忠誠度も低かったことや、米軍のすさまじい攻撃力に度肝を抜かれた様子が分かる。タイトルは「二人のイラク将校が語る軍と体制の崩壊」(抄訳)

一人はフセインという名の将校の証言である。35歳で歩兵部隊の司令官だ。

感情を抑えながら議論が行なわれていた小さな部屋に、急に沈黙が訪れる。茶碗のスプーンの音がかすかに鳴るばかりだ。35歳のフセイン元司令官は、1時間前から、失墜した大統領への忠誠の念を表すために不明瞭な堂堂巡りをしていたが、とうとう我慢できなくなって言い放った。「サダム・フセインはイラクの北に隠れていて、やがて現れる。そうおれは確信する。彼の帰還に備えてレジスタンス運動を組織すべきだ」

バグダッドの住宅街にあるドラの別荘の、低いテーブルのまわりやテレビ付き書棚の前にいる一族郎党と同様に、彼の従兄弟ハミドは怒るよりもびっくりした。反論する言葉を探しながら「おまえは体制に仕えてきたからそう言う。確かにその通りだ。おまえには家も車も金もある。だがおれは、38歳で、狭い部屋で両親の面倒を見ている」と、経済学の学位を持ち、小さな運輸会社を経営しているハミドは叫ぶ。「フセイン、おまえは現実を見ていない。ページはめくられたのだ。これは良かったことなのだ」

砲火の洗礼(前半略)
米英軍の行動は砲火の洗礼で成り立っていた。この司令官とその同志は北東の郊外、バグダッドの最後の防衛線に配置されていた。「侵攻の前、米軍は絶対にわれわれの石油が欲しくて戦争を起こすだろうと思っていた」と彼は語る。「しかし戦争は長期にわたるだろうと確信していた。それに、南からの最初の情報はよい知らせで、バスラでのわが軍の抵抗は私を希望と誇りでいっぱいにした」それから、フランスの国際放送やカナダのラジオ放送を巧くキャッチすることによって、歩兵部隊は、米軍の首都への進撃に対しては抵抗し難く、やがて交戦は避けられないことが分かり始めた。

「宮殿や兵舎に対する爆撃があっても、私はわれわれの大統領が秘密兵器を保持していて、それを使うのだろう信じていた。だが、われわれの部隊の士気は衰え始めた」 4月5日以後、フセイン司令官は、彼の部下たちが一人また一人と脱走するのを阻止できなかった。「われわれは兵舎にはいなかった。退避壕や道路沿いの畑にいた。そこは夜になると、持参していた私服に着替え、家に帰るのに都合がよかったからだ」高官たちがテレビに出なくなった時、司令官は「終わった」と感じた。

「私の120人の仲間は」と彼は語る。「10日と留まっていなかった。4月9日に米軍戦車が現れて戦火は開かれた。しかしどうすることもできなかった。戦力の差はあまりにも大き過ぎた。米軍は動くものはすべて射撃しながら、止まらずに進んだ。信じられない攻撃力だった!私の2人の兵士が殺された。他の2人が負傷した。私が撤退したのはその時だ」今も「サダムのためにいつでも死ぬ用意がある」と言うこの司令官は、用心深く、郊外の彼の古い家に隠れて私服に戻っていたのだ。

記事はもう一人のサリムという28歳の大尉の話を紹介している。

“骨の髄までの死“
超々強力なアメリカ軍が動き出してすぐ、この若い将校は、結果はどうあろうと幻想は抱いていなかった。「あくまでサダムのためではなく国のため」に義務を遂行するつもりでいた。彼はそれまでもサダムは暴君だと思っていた。「長い間、民衆は軍人と警官を軽蔑していた。民衆の目からは彼らは権力者の召使だった」と、この共和国防衛隊員は苦々しげに言う。彼によればイラク軍は「堕落していた」「10年来、装備のすべては近代化されず、われわれは時代遅れの同じミサイルを操っていた。米軍はわれわれが大量破壊兵器を所持していると信じるふりをしていただけである」米軍部隊がバグダッド近郊に到達した時、サリム大尉の部隊は首都から60キロ南東のアル・シュワイラ近くに宿営していたが、しばしばあちこちのキャンプに移動させられた。

「ある移動の間の出来事だ。装甲車に護衛されたわれわれのトラックの隊列がアメリカ空軍の標的となった。われわれは炎の洪水の中にあった。一、二瞬のうちに90%の車輌が粉々になった。部下の大部分が、砲撃を始める暇もなく殺された」と彼は興奮して語る。大尉は運転手としてのカンでとっさにハンドルをさばいて命拾いをし、弾丸の雨あられから逃れてバグダッドへ向かって一目散に遁走した。

サリム大尉が見たわずか数日の首都の陥落は「骨の髄までの死」だが「まったくやりがいのない」ものだった。しかしながら、アメリカの占領を苦悩のうちに見つめたにしても、この若いシーア派教徒には、呪うべき体制が消えたことにいかなる悔いもない。

http://www.lemonde.fr/article/0,5987,3462--317550-,00.html

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