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パリで23、24日に開かれるパリクラブ(主要債権国会議)では、イラクの戦後復興の焦点となっているイラクの対外債務問題を協議する。フセイン政権時代に巨額に膨らんだイラク向け債務について、米国は「復興を円滑に進めるうえでも、債務削減は不可欠」との姿勢。これに対し、日本や仏・露などは、イラクが将来的に多額の石油収入を見込めることから削減に難色を示している。交渉のポイントを整理した。【木村旬】
Q イラクの対外債務はどのくらいなの?
A イラクは正式な額を公表していないが、国際開発センター(外務省など所管の調査機関)は、約1270億ドル(約15兆2400億円)と推計している。イラクの国内総生産(GDP)は約250億ドル(約3兆円)といわれ、借金はGDPの5倍に上る計算だ。
Q 途方もないね。
A フセイン政権は油田開発や武器調達に走る一方、湾岸戦争後の経済制裁で石油輸出が制限されたことから、借金が膨らんだ。「今後の石油収入も国民生活の維持に回す必要があり、債務返済が加わると破産状態」との見方が強い。米国は、1000億ドル(約12兆円)とも言われる復興費用に石油収入を回したい思惑もあって債務削減を提案している。
Q 交渉の行方は?
A イラク向け債権が数億ドル程度と比較的、少ない米国は債務削減を求めているが、債権が多い仏・露は簡単に応じそうになく、開戦時の対立の構図が続いている。プーチン露大統領は今月11日に「債務削減に応じる用意がある」と発言したが、その直後にクドリン露財務相が否定した。「石油権益が確保されないうちに債務削減のカードは切れない」(国際金融筋)との計算も働いているようだ。
Q 日本の債権は?
A 国際協力銀行の借款430億円と商社や銀行の融資のうち貿易保険で政府が肩代わりした約4300億円が公的債権で、パリクラブでの交渉対象になる。貿易保険は戦争や革命など民間保険でカバーできない大きなリスクを政府が保証するもの。4300億円の中には、貿易保険の契約債権だが、返済不能に陥った場合に政府が肩代わりして支払う保険の対象にならない「免責分」約1300億円も含まれている。これに、民間債権も加えると6000億円規模に達するとみられる。
Q 日本の対応は?
A 日本政府も「イラクは中所得国で石油収入が見込める」として、原則的に債務削減には応じず、債務返済の繰り延べ(リスケジュール)にとどめたい方針だ。債務を削減した国には新規の貿易保険を供与できなくなることから、復興事業への関与が遅れる恐れもあるためだ。ただ、石油権益の配分次第で、欧米各国の間で債務削減の流れが強まれば、難しい判断を迫られそうだ。
◆主なイラク向け債権◆
湾岸協力会議 300億ドル
クウェート 170億ドル
ロシア 120億ドル
日本 50億ドル
フランス 40〜50億ドル
トルコ 8億ドル
※国際開発センターによる推計
で、数字は官民合計。湾岸協力
会議はクェートを除くサウジア
ラビアなど5カ国分。
[毎日新聞4月23日] ( 2003-04-23-03:01 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/keizai/20030423k0000m020161000c.html