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イラク戦争で米国を支持した日本が、アラブ諸国との関係修復に躍起になっている。原油輸入の約9割を頼る中東地域は日本経済の「生命線」であり、日本の融和政策はこれらの地域に親日感情を根付かせてきた。米国支持を鮮明にしたことで悪化したアラブ諸国の対日感情を緩和し、併せて中東和平プロセスにどう関与するか――。外務省は今月末からの川口順子外相のイスラエル、パレスチナ訪問をテコに、中東外交の立て直しに取り組んでいく構えだ。
イラク戦争開戦の先月20日、政府は当面の対処方針とは別に「中東地域の平和と安定にむけて」と題する川口外相談話を発表。同25日にはイラクを除くアラブ諸国とイランの在京大使を集め日本の支援策などを説明した。今月上旬には、岡本行夫内閣官房参与を中東に派遣。外務省幹部は「傷をいやすプロセスだった」と打ち明けた。
日本は73年の第1次石油危機で第3次中東戦争占領地からのイスラエル撤退を求める政府談話を発表。サウジアラビアなどへの最大の政府開発援助(ODA)供与国となった。00年以降はパレスチナ支援を本格化。「米国に追従するだけでは資源のない日本は立ち行かない」(外務省幹部)との認識から、独自のアラブ外交を展開してきた。茂木敏充副外相は18日の記者会見で「幸い、中東諸国の対日イメージは良好」と述べ、イラク戦争支持はそれほどマイナスにはなっていない、との見方を示した。
しかし、アラブ諸国に詳しい外務官僚は「『日本の姿勢には驚いた』とアラブの友人からは言われる。民衆は日本にプラスの印象を持っていない」と語る。川口外相の連休中の外遊日程が当初のフランスと東南アジアから二転三転して中東訪問に変わったのも、中東外交の修復が急務との考えがあるからだ。また、イラク復興をにらみ「欧米諸国がパレスチナ問題に本腰を入れ始める前に、日本も積極的に動いた方がいい」(同省筋)という判断も働いた。
外相は訪問時、イスラエルの攻撃で破壊されたインフラ復旧や、パレスチナ自治政府職員の能力向上研修への支援も表明するが、こうしたパレスチナ支援がアラブ民衆の対日感情改善にどの程度貢献するかは未知数だ。アジア・プレスの野中章弘代表は「今回の米国支持でアラブ全域で伝統的な親日感情は前例がないほど悪化した。官民が築いてきたアラブとの友好関係にヒビが入ってしまった」と話しており、中東との関係修復には時間がかかりそうだ。 【白戸圭一】
[毎日新聞4月23日] ( 2003-04-23-01:15 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20030423k0000m010165000c.html