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http://www.mainichi.co.jp/news/article/200304/22m/008.html
[追跡・イラク戦争]政権親密企業に利権−−米ベクテル社、復興事業を受注
米建設大手のベクテル・グループ(本社・サンフランシスコ)が、イラクの初期復興事業で最大の総額6億8000万ドル(約816億円)に上るインフラ復旧事業を射止めたことで、国際的な波紋が広がっている。ブッシュ政権と同社の親密な関係が、「復興利権」の配分をめぐる不透明感を生んでいるのだ。
「イラク復興の最初の主要事業の受注先が(ブッシュ政権と)政治的に親密な企業に決まり、国際社会に嘆かわしいメッセージが送られた」――。19日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「そしてベクテルが勝った」と題する社説でこう論評した。一握りの米企業にしか入札を認めず、その選定根拠も明示しない米国際開発局(USAID)のやり方に対する批判だ。
米企業の中でも、ベクテルは「ブッシュ政権との親密ぶりで一、二を争う」(業界筋)といわれてきた。レーガン政権の国務長官だったジョージ・シュルツ氏が役員を務め、創業者一族のライリー・ベクテル会長は、大統領の諮問機関「輸出会議」のメンバー。元海兵隊大将のジャック・シーハン上級副社長は、国防長官の諮問機関「国防政策委員会」の一員で国防総省にも顔が利く。
入札にはベクテルのほか、世界最大のゼネコン(総合建設会社)であるフルーア(本社・カリフォルニア州)など4社が参加。最終的には、フォーブス誌の世界長者番付に載るライリー会長が率い、個人・企業とも共和党の多額献金元であるベクテルが「政権との近さで勝利した」(シンクタンク)とされる。
限られた米大手企業にしか入札参加を認めていないことについて、USAIDは「安全保障上の審査と迅速な事業推進のため」(ナツィオス局長)と説明する。ベクテル側も、シュルツ氏がCNNテレビに出演して「政治力は行使していない」と反論するなど、独占批判をかわすのに躍起だ。
「第二次大戦後のマーシャル・プラン(欧州復興事業)以来の規模」とされるイラク復興事業は、外国企業にとっても「おいしいビジネスチャンス」(ニューズウィーク誌)。戦後の統治体制も決まらないうちに、そのチャンスを一部米企業に分け与えるやり方には欧州政府・企業間に不満が高まっている。
ベクテル受注の背景には、シュルツ氏の国務長官時代に、同社が請け負う予定だったパイプライン計画が頓挫したという事情もありそうだ。
国際ジャーナリストの菅原出氏によると、ベクテル社長を経て81年に国務長官になったシュルツ氏は、イラクからヨルダン南部のアカバ港に抜けるパイプライン計画を推進。83年に米政府特使としてイラクを訪れ、「ベクテル・プラン」をフセイン大統領に持ちかけたのが、ラムズフェルド現国防長官だった。計画は86年にフセイン大統領から拒否された。
ベクテルは、ブッシュ元大統領の政権下で起きた湾岸戦争(91年)でも、クウェートの戦後復興に深く関与したとされ、ブッシュ・ファミリーと不思議に縁がある。副島隆彦・常葉学園大助教授(政治思想研究)は「米国内には、今回の受注について癒着を指摘する声もある。露骨な利益誘導が続けば今後、ブッシュ政権批判が高まる可能性がある」と語っている。【ワシントン竹川正記、外信部・杉尾直哉】
(2003年4月22日毎日新聞朝刊から)