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ブッシュ大統領は、米英軍がイラクのフセイン政権を崩壊させ全土を掌握した後も、イラク戦争の公式な「勝利宣言」を行っていない。16日のホワイトハウスでの演説に続き、ミズーリ州セントルイスでの演説でも「フセイン政権は歴史のかなたに去った」と言いながら「困難はまだ過ぎ去っていない」と述べた。
その裏には「戦時の大統領」で居続けた方が国民の団結が維持され、再選に有利に働くといったしたたかな計算がうかがえる。
大統領が「勝者のひのき舞台」とも言える勝利宣言を行わない理由について、マクレラン大統領副報道官は「小規模な戦闘はまだ終わっていない。大統領は、われわれにはまだ達成しなければならない課題が残っていることを国民に伝えたいのだ」と説明した。
フランクス米中央軍司令官も「2、3ヵ月では任務は完了しない」と語っており、ホワイトハウスが司令官の進言を受け入れれば、当分、勝利宣言はないことになる。
アフガニスタンでの「対テロ戦争」でもブッシュ大統領は、オサマ・ビン・ラディンが捕まっていないことなどを理由に結局、勝利宣言はしなかった。
今回もフセイン大統領の消息は不明のままで、大量破壊兵器も発見されておらず「国民が勝利に酔える状況ではない」(軍事評論家)という見方もある。
しかし、同時テロ後「戦時大統領」としての統率力を売り物にしている印象が強いブッシュ大統領が「大統領選前に戦争が終わったようなムードをつくり、国民の関心をそらす戦略を取るはずがない」(米政治評論家)と、勝利宣言回避は戦術だという見方が支配的だ。(共同)
http://www.usfl.com/Daily/News/03/04/0417_015.asp