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【ワシントン中島哲夫】イラク戦争は開戦から1カ月を迎え、フセイン政権を打倒した米国はイラク全土の制圧と暫定政権の発足を同時並行で目指す新たな局面に入っている。その先には中東地域の「民主化」という目標が待つ。しかし、今後の課題には軍事力だけでは対処できず、米国の思惑通りには進みそうもない兆しが目立っている。
◆得意と誤算
ブッシュ米大統領は得意の絶頂だろう。ハイテク兵器を駆使した迅速作戦でフセイン政権をあっさり倒した。米兵の犠牲は比較的少なく、大統領支持率は70%以上にはね上がった。
しかし誤算もあった。何よりイラク攻撃の大義名分だった大量破壊兵器を発見できない。ラムズフェルド国防長官は17日、「イラク人の情報提供がなければ見つからない」と言い始めた。このままではブッシュ大統領が16日の演説で国連に求めた対イラク経済制裁解除にも支障が出てくる。
19日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、米政府が暫定政権への段階的な権限委譲を可能にする3〜4件の国連安保理決議案を考えており、これに「制裁解除」も含ませる構想だと報じた。査察官による「大量破壊兵器なし」の認定を制裁解除の条件としている旧決議を、新決議で空文化させようという狙いだ。
しかし仏露などは国連が復興の中心的役割を果たすことにならない限り、制裁は解除すべきでないという立場だ。サウジアラビアのサウド外相は19日、制裁解除はイラクに「国民を代表する合法的な政府」が出来た後のことだと述べた。こうした抵抗を強引に突破しようとすれば、また大きな摩擦を招く。
一方、米国防総省は亡命イラク人で組織するイラク国民会議(INC)を暫定政権の核にしたい意向だが、反対も強い。15日から動き始めた暫定政権の準備会合を、イスラム教シーア派の一部勢力はボイコットした。18日にはバグダッドで米軍の早期撤退を求める大規模デモがあった。
◆民主主義の拡大
ブッシュ大統領は2月末、保守系シンクタンクの会合で行った講演で、イラク民主化を足がかりにアラブ世界全体の改革を目指す方針を明らかにした。つまりイラク戦争の目的には「中東地域への民主主義拡大」が含まれている。
これは各国の自主的な行動を待つというより、米国が軍事力を背景に改革を迫るという側面が強い。イラク戦争が一段落するや否や米国がシリアを非難し始めたことも、この一環だという印象を広げている。
イラク周辺国は18日、リヤドでの外相会議でイラクからの米英軍の早期撤退と国連主導による暫定政権樹立を求めた。米国の動きをけん制する狙いが明らかで、対米警戒感は今後ますます強まることが確実だ。
[毎日新聞4月19日] ( 2003-04-19-20:07 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030420k0000m030066000c.html