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戦争は終わっていない(益岡賢氏のHPより)
http://www.asyura.com/0304/war32/msg/364.html
投稿者 キャプテン 日時 2003 年 4 月 19 日 01:06:28:

戦争は終わっていない
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/

ミラン・ライ
ZNet原文
2003年4月15日


戦争は、イラクの一般の人々を脅かし続けている。戦争開始前に、国連の人道問題調整局は、「紛争が起きるならば、5歳未満の子供の30%が栄養失調で死亡する恐れがある」(リークされた2003年1月7日付報告草案www.casi.org.uk)。ブッシュとブレアは、126万人の子供たちがイラクで餓死する可能性があることを十分承知で戦争を始めたのである。この餓死の脅威は、「食料のための石油」プログラムによる月々の人道配布体制が中断され、基本公共サービス(電気や飲み水の供給)が中断ないし破壊されることから来るものである。これらは栄養失調と死をもたらす可能性が大きい。とりわけ、子供に対して。そして、これらの問題は、今も深刻な問題である。

ユニセフのウィヴィナ・ベルモンテ報道官は4月7日、次のような警告を発表している。「紛争が続く1日1日、人道の時計が針を刻んでいる。これはアクセスと、配布、時間に関わる問題であり、そしてイラクの子供たちの命に関わる問題である」。4月9日、ユニセフ代表カロル・デ・ローイは次のように述べた。「この紛争が起きる前、ユニセフはイラク内部にネットワークと体制を有しており、それらが、人々の命を救うための予防接種キャンペーン、滋養キャンペーンそして教育活動を助けていた。略奪とカオス、秩序の崩壊で最も憂慮されるのは、これまで当てにしてきたこの体制が完全に消え失せたり崩壊したのではないかということである」。

国連世界食料計画は、歴史上最大の活動に入るところだと述べた。2700万人の人々 −つまりイラクの全人口− に対して、4カ月にわたり食料を提供する活動である。これについて、マーテン・ロースト報道官は、4月9日、「けれども、食料配布を成功させるためには、安全な環境で活動する必要がある」と語る。「法と秩序が保たれないならば、必要な食料援助 −48万トン− が人々に届くことを保証するのは極めて難しい」。バスラの倉庫が略奪されたという報道については、「5月の配給のために補充しようとしていたまさにその倉庫だ」とし、そうした状況でWFPが活動することが可能だとは思えないと語った。

ユニセフは4月10日、バグダッドでカオスが続いていると伝えられることは深刻な事態であり、1日前にユニセフのバグダッド事務所も略奪され、電話や椅子を始めほとんど全てが持ち去られたが、とりわけ警戒を要する情報は、過去5日間で、子供たちの間に、下痢が激増していることだ、と発表した。南部の港町ウムカスルにある病院の医師たちによると、きれいな水がないことを直接の原因とする下痢の増大は驚くべき程であり、昨年はまるまる1カ月に30人しかいなかったこの症状の患者が、4月の最初の5日間で50人も出ている状況であると、ウィビナ・ベルモンテ報道官は述べている。医者たちが目にしたことに基づいて考えると、今月末までに、水の状況が悪いため、イラク南部一帯にわたって、栄養失調率は急激に上昇する可能性が高い。

人道的供給

「セーブ・ザ・チルドレンUK」は、2002年9月4日、次のように警告していた。「軍事行動の直接的帰結としてもたらされる3つのことが、民間人の暮らしと生存そのものを危険なまでに脅かすだろう」。「第一は、国連「食料のための石油」プログラム(OFF)により輸入されていた人道関係品の供給が中断されること。近隣諸国は、国境を閉鎖するかも知れず、国連機関と国際的・国内的な援助スタッフは自らのポストから避難撤退するかも知れず、イラク当局は、物品を必要な人々に届けることを妨害するか、あるいは提供ができないかも知れない」。

食料や医薬品といった人道的グッズの配布には問題が起き続けるかも知れない。国連は、イラクに向かう予定の「食料のための石油」関係物資を検討し、「供給のうち、イラクでの緊急要請に応えられるタイミングで輸送される物資の量はあまり多くない」と述べている。難民にとって緊急に必要なもの、保健医療滋養関係品、シェルター、教育と地雷からの保護は、提供予定品から漏れている。また、栄養失調対策に用いる高プロテイン・ビスケットや治療用ミルク、水の浄化についても、漏れている。迅速な提供に対するもう一つの制約は、イラクへの商業輸送船の行き来が、戦争の前段階ではっきりと遅くなったことで、「配布に必要な連携を再建するためにはしばらく時間がかかる」(www.un.org/Depts/oip, Weekly Update 29 Mar - 4 Apr)。

アフガニスタンでと同じように、無秩序と紛争は、国際援助機関の職員が、人道的活動のためにイラクに入ることを危険なものにする。4月9日、それまで問題なく活動を続けてきた国際赤十字は、赤十字の車が2台銃撃され、カナダ人スタッフ1名が死亡した後、バグダッドでの人道救援活動を一時停止した。赤十字は「バグダッドにおけるカオスと予想が付けられない状況を考えると、ある場所から別の場所に移動することには、計算できないほどのリスクが伴う」と述べている(フィナンシャル・タイムズ紙4月10日)。

ブライアン・マッコイ米軍中佐は、4月10日、政府省庁建物やイラク指導者たちの家が略奪されることは気にとめていないと述べた。「守らなくてはならないのは、病院や発電所、浄水場といった、文民インフラである」と。けれども、バグダッドで有数の医療施設であるアル=キンディ病院が武装した略奪者たちに襲撃されたとき、米軍は介入しなかった。介入せよという命令を受けていなかったと言うのである。「米英の同盟国軍は、略奪者を封じ込めたり、路上を支配するようになった暴徒たちに何らかの統制を及ぼすことなど、全くできていないようである」。国連イラク人道調整局の報道官であるベロニク・タブーはこう語る。「占領軍のこうした不作為は、ジュネーブ条約に違反している」(BBCオンライン「状況不安がバグダッドを苦しめている」4月11日)。

権力と行政機構

「セーブ・ザ・チルドレンUK」は、昨年9月、「紛争が人口密度の高い地域を取り囲み、そのインフラの中枢にダメージを与える可能性が高い。電力供給のカットと交通手段の閉鎖は公共保健の障害を引き起こし、中期的に、多数のイラク人の命を危険に陥れる」と述べている。電力供給の中断が続けば、飲み水の供給も麻痺し、人々は安全でない水に依存することになる。これにより、水を原因とする病気が広がる。そして、それに対して最も脆弱なのは、子供たちである。

さらに「セーブ・ザ・チルドレンUK」は、「イラク行政機構における通信とロジスティクスの崩壊により、民間人は、集中的に貯蓄された供給へのアクセスができなくなり、また、その配布も疎外される」と述べている。イラク文民行政機構の通信とロジスティクスは、現在、完全に崩壊しているようである。これは、あらゆるイラクの市民に対して、現実的な危険を引き起こしている。

イラクの人々 −そして特にイラクの子供たち− は、戦争が引き起こしたダメージと崩壊により、深刻な危機を抱えている。適切な人道援助、安全な環境、行政機構の迅速な復興なしでは、「解放」は本当の破滅につながるだろう。

ミラン・ライは「イラク戦争計画」(NHK出版から『イラク攻撃を中止すべき10の理由』として出ている)の著者で、平和活動家。 /blockquote>
益岡賢 2003年4月16日 

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