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イラクという人はいませんから不信感を抱く主体を問題にする必要があります。
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 17 日 02:25:44:

(回答先: Re: 『ブッシュ−フセイン合作“戦争劇”』説提示に関する弁明 投稿者 F 日時 2003 年 4 月 16 日 23:18:10)


Fさん、こんばんわ。


>iraqwar.ruのVenikは、

>合作、すなわち取引をするには米とイラクの間には不信感が
>ありすぎる、なぜならば1991年の停戦合意を米が踏みにじ
>り、退却するイラク軍を背後から攻撃した、という記憶が
>イラクにはまだ生々しく残っている、と言っています。

>合作をする上でのこの障害はどうやって
>回避されたと考えていますか。


不信感という話ですが、イラクという人はいませんから、不信感を抱く主体を考える必要があります。

不信感を抱いた主体がフセイン政権であれば、戦況情報でお世話になったVenik氏の論は成立します。

しかし、それがイラク一般国民のある部分であれば、湾岸戦争の卑劣な虐殺行動は憎悪や怒りとして残るだけで、何かことがあれば仕返ししたいというものです。

イラク国民は民族・宗派・政治的価値観でおおまかに分裂していますから、どの部分が米国に不信感を抱き続けたかという問題もあります。

また、「合作」はフセイン政権が勝手に進めたもので、国民に諮って決定したことでもありません。

「湾岸戦争」は、空爆が主体の一方的な虐殺と破壊の戦いであり、多国籍軍陸上部隊はイラク南部に入っただけで終結しました。(都市空爆の対象もバグダッドくらいです)
クウェートから撤退するイラク軍部隊が、わけもわからず空から攻撃されたというのが「湾岸戦争」当初の構図です。
米軍主体の陸上部隊は壊滅状態のイラク軍部隊を襲い、謀略部隊は南部諸都市にエージェントを送り込んで“蜂起”を唆したというのが、イラク南部での戦いの実態です。

「湾岸戦争」では20万人のイラク将兵が死んだとされていますが、死んだ人たちに出身母体は知りません。これを確認すれば、イラク国民のどういう部分が米国に不信感を抱いていたかわかると思います。

南部諸都市は、米国に唆された“蜂起”に立ち上がった人たちが鎮圧や弾圧の憂き目に会いました。
これは、根強い対米不信感をもたらしたはずです。

また、「湾岸戦争」では、劣化ウラン弾が対戦車攻撃にも使用されました。
クウェートから撤退中の部隊に対するものですから、劣化ウラン弾被害に苦しんでいるのは南部地域の住民のはずです。


虐殺されたイラク軍将兵の出身勢力は不明ですが、その他の要因では、不信感のネタが南部地域に集中していることがわかります。
そして、南部地域は、ご存知のようにそれ以前から反フセイン政権意識が強いところです。

今回の「イラク侵略戦争」も、侵略軍に対して果敢に戦ったのは南部地域で、中部以北はほぼ戦闘をしなかったというものです。


「合作」は、フセイン政権と米国歴代政権(国防総省及び情報機関が主)の間の問題ですから、湾岸戦争の「停戦合意」破りの虐殺軍事行動は問題にならないはずです。

昨年2月の書き込みのなかの「フセイン政権はブッシュ政権の“お仲間”だと思っており(「イラン−イラク戦争」はともかく「湾岸戦争」当時から)、主戦場(サウジアラビアやイラン)への導入者の役割を担う存在だと考えています」という内容も、ここで書いたようなことを織り込んで到達した判断です。

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