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報告者:アブ・ハバル
ジリノフスキー情報とイラク版インテファーダ 2003年04月24日
ロシアの右翼自由民主党党首のジリノフスキーは、サッダーム・フセイン大統領がいまも生存しており、将来イラクを過激なイスラム国家にするという分析(予測?)を披露した。
サッダーム・フセイン大統領の生死はいまだ分からないが、アメリカが攻撃している中で、マンスールにあるレストランにイラク政府の要人全員が集まり、サッダーム・フセイン大統領と彼の子息2人も同じ場所にいたということは常識ではありえないのでは無いか。
アメリカの攻撃を全く無視して、イラク政府の要人全員を一箇所に集めるほど、サッダーム・フセイン大統領が馬鹿な判断をするとは思えないからだ。しかし、今の段階ではサッダーム・フセイン大統領の生死は分からない、としておくのが妥当な判断であろう。
いずれにせよ、当分の間、例えサッダーム・フセイン大統領が生きていたとしても、彼は表面には出て来ない方が得策であろう。チェゲバラでは無いが、噂が彼のイメージを大きくし、イラク社会がそのエネルギーで新たな動きを起こす可能性があるからだ。
アメリカはイラク国民を解放したというが、日増しに反米感情がイラク国内では広がっている。そして、その中心的エネルギーはイスラムだ。それはある意味では当然であろう。過去にもそのような例は幾つでもある。
イランのパーレビ体制が打倒されたのはイスラムのエネルギーによってだったし、アラファト議長が実質的な政治力をほぼそがれ、アラブ諸国も何の手立てもパレスチナ問題に出来なくなった時に出てきたのもイスラム勢力だった。
イラクの場合はサッダーム・フセイン大統領という重石をアメリカが取り除いてくれたことにより、イラクの内部で地下に潜っていたスンニー派シーア派のイスラム勢力が一気に表面に出てくることになったのだ。
しかも、そこで明らかになってきことは、イスラム活動の中心は、亡命イスラム勢力ではなく、国内に潜っていた、あるいはサッダーム・フセイン大統領の弾圧に妥協し、あるいは譲歩してきたイスラム勢力が主流をなしているということだ。外国から帰国したイスラム勢力のリーダーらしき人物たちは、ほぼ全員がイラク国民から軽視されるか敵視されている。それはアメリカに対する敵視でもあるということだ。
こうしたイスラム勢力はスンニー派シーア派に関わらず、アメリカを占領者とみなしており、イラクの解放者とはみなしていないということだ。彼等は一様にアメリカを占領者とみなし、イスラムを主張し、アメリカ軍の早期撤退を叫んでいる。
この光景は中東のもう一つの問題に極似しているのでは無いか。パレスチナでの抵抗は政治(アラファト議長)から次第に宗教(ハマースなど)へと主導権が移っていき、その抵抗運動は長期にわたり、特攻という最終兵器が主流をなすようになっている。
アメリカがアラファト議長という交渉相手を不服として、アブ・マーゼン(マハムード・アッバース)を担ぎ上げパレスチナ自治政府の首相にし、平和の実現に向けて努力する方針を打ち出しているが成功すまい。
パレスチナの大衆はそこに解放のゴールが見えると信じ、生命を賭して戦うことを始めて既に一定の時間が経過し、一定の成果が上がっているからだ。
イラクで今後起こってくる可能性の高いものは、チャラビによる暫定政権によるイラク国内の安定でもなければ、国連による安定でも、アメリカによる安定でもあるまい。今後起こってくる一番可能性の高い動きは、イスラム各派によるイラク版インテファーダであろう。
アメリカはイラクのシーア派の動きに、イランの関与を警戒しているが、そこではイランの関与は「従」であり、「主」では無いのだということを認識すべきであろう。
たとえばレバノンのヘズブラのイスラエルに対する抵抗闘争で、イランはヘズブラに援助をしているが、ヘズブラはイランの思惑通りに動いているわけでは無いし、ヘズブラの支援があるとされるパレスチナのハマースの活動も、ヘズブラの支援と指示で動いているわけでは無いのだ。あくまでも抵抗活動の意思はその土地の住民にあるのだ。
イラク国民の宗教を基盤とするアメリカの占領に対する抵抗運動は、あるいはアメリカが早期に撤退したとしても(それはアメリカの敗北を意味することであるからありえないことだが)、その後にアメリカがイラクに残していく親米政権に対する抵抗運動は烈しくなる可能性こそあれ、沈静化の方向は見えてこないだろう。イラク国民はいま、何十年ぶりにイスラムの自由の空気を手にし、胸いっぱいに吸い込み始めたのだから。
イラクの大衆の蜂起(インテファーダ)にアメリカ軍はイスラエル軍と同じような対応をするのか、それは何時まで続くのか、そのメリットは何か、、、。アメリカはこれから、本当の長く苦しい戦争をイラク国民との間に展開せざるを得ないということでは無いか。サッダーム・フセイン大統領生存説、サッダーム・フセイン大統領の策略といった情報は、彼の生死に関係なく、今後アメリカがイラクを占領統治していく上で不都合極まりないものとなっていこう。
アメリカは「サッダームフセイン大統領によるバアス党支配のほうが良かった」と思う時があるのでは無いか。あるいはそのような情況をアメリカがイラク国民にわからせるための、今は一時期なのかも知れない、というのはきつ過ぎる冗談か。
http://www.tkfd.or.jp/news/meast/1_20030425_1.shtml