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昨日,シーア派反体制派の指導者でありながら米国との協調を説こうとしたアブデルマジド・フーイー師がナジャフに入った直後に殺害されるという衝撃的ニュースがあったが,その一方,現在はイランに根拠を置く同じシーア派の有力な反体制組織SCIRIは,米国中心の暫定統治機構案に反旗を翻している。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030410-00000142-mai-int
<イラク戦争>暫定政権は国連主導で SCIRI会見
【ダマスカス竹之内満】イラクの最大宗派であるイスラム教シーア派の反体制亡命組織、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI、本部テヘラン)シリア・レバノン支部代表のバヤン・ジャバル氏は毎日新聞と会見し、イラク暫定政権について「あくまでも国連主導で行われるべきだ。米国主導ならあらゆる手段を使って抵抗する」と警告した。
ジャバル氏は「イラク国民が待ち望んでいるのは、全員参加の公正な選挙であり、監視員を配置するなど国連主導で実施する必要がある。特に大統領は一回の直接選挙で決めるべきで、結果に対する米国の介入は許さない」と述べた。
ジャバル氏はまた「政権樹立を意のままにしようという米国に不信感がある。公正な選挙なら、我々は勝てる自信がある。もし米国が介入すれば、デモやストライキなどあらゆる手段で抵抗する」と警戒感を示した。(毎日新聞)
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そして本日,SCIRIの支持者がテヘランのイラク大使館を襲い,「反フセイン,反米」を叫ぶ,という事件が起こった。
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http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030412k0000m030074000c.html
シーア派:テヘラン・イラク大使館襲撃 反米感情示す
【カイロ城島徹】テヘランからの報道によると、イスラム教シーア派の「イラク・イスラム革命最高評議会」(SCIRI)の支持者が10日、テヘランのイラク大使館を襲撃し、「反フセイン」と同時に「米国に死を」とアピールした。イラク暫定政権構想が動き出す中、シーア派内の根強い反米感情を示した形となった。
ロイター通信によると、大使館周辺で抗議していた支持者らが館内になだれ込み、内部のフセイン大統領の肖像画を引き倒し、SCIRIの最高指導者ムハマド・ハキム師の肖像を掲げた。ハキム師は「イラク国民の救済」を訴え、フセイン政権崩壊後の米英軍の早期撤退を求めていた。
ハキム師は79年からイランに亡命し、SCIRIはイランから経済的な支援を受けているとされる。イランは今回のイラク戦争では中立的な立場を取っているが、ハラジ外相は9日、イラクの暫定政権でSCIRIが重要な役割を担ってほしいと発言している。
[毎日新聞4月11日] ( 2003-04-11-20:30 )
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SCIRIが今後どの程度の影響力をイラクのシーア派の人々に及ぼせるかも不明であるが,米国がでっちあげた「イラク国民会議」に比べれば,SCIRIがイラク国内で受け入れられる基盤はずっとしっかりしているだろう。(SCIRIは,軍事組織も数千名組織していると言われる)
また,もう一つ興味深いのは「ハラジ外相は9日、イラクの暫定政権でSCIRIが重要な役割を担ってほしいと発言している」という部分であり,SCIRIを経由してイラクのシーア派に影響力を行使したいという意欲をイランが隠していないということだ。
人口の65%を占めるシーア派アラブ人が主導権を握る政権がイラクにでき,それが親イラン政策を取ったら,イランにとってはこれ以上ない幸福な展開となり,米国にとって悪夢以外の何ものでもないだろう。
「大悪魔アメリカに大感謝!」「棚からぼたもち!」という星条旗パレードがテヘランで行われるかもしれない,などという冗談を考えてしまう。
これとは別に,クルド人勢力は,当然自治拡大,独立への志向を強めるはずだ。独裁という強烈なたがが一挙に外れたあとのゆりかえしは大きい。「フセインを排除してイラクを丸ごといただく」という米国の思惑は大空振りに終わり,イラクが旧ユーゴスラビアと似たような構図になってしまう可能性もあるのではないか。シーア派とスンニー派との平和的な共存も,大変なことだろう。