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http://www.jca.ax.apc.org/stopUSwar/Iraq/daisy_cutter_in_kut_apl2.htm
米軍が 大量破壊=非人道兵器“燃料気化爆弾”を使用!
小型核爆弾に匹敵!不気味なきのこ雲が物語る大量殺傷力・大規模破壊力
クートの共和国防衛隊宮殿から立ち上るきのこ雲(ロイター通信)
■劣化ウラン弾、クラスター爆弾、ナパーム弾、そして燃料気化爆弾
予想以上のイラク軍の反撃、想定外の戦況の膠着と長期化の下、アメリカ軍は「作戦の失敗」に焦燥感を強め、ふりかまわぬ猛攻を開始した。劣化ウラン弾を大量に使用し始めた。都市部近郊で戦車や装甲車をめがけて放射性廃棄物がばらまかれているのである。私たちの予想が正しければ硬化目標貫通弾の形でも劣化ウランがばらまかれているはずだ。
軍民問わずクラスター爆弾を投下している。動く物であれば何であろうと破壊している。その結果、ヒッラをはじめ市民の間に多数の死傷者が出ている。ナパーム弾も使用している。
そしてアメリカ軍は、ついに通常兵器中最大の破壊力を持つ燃料気化爆弾の投入を開始したのである。4月2日、ロイター通信はイラク中央部の都市クートの近くで、2つの巨大な爆弾が投下され、空高く巨大なきのこ雲が立ち上ったと報じた。海兵隊はこの爆弾を「デージーカッター」と見なしていると、レポーターは伝えている。デイジーカッターとは、燃料気化爆弾のことである。通常兵器中最も大きな破壊力を持つ爆弾であり、戦術核に次ぐ威力を持っている。
アメリカ軍は、2日、首都に向けた侵攻を開始し、前進を阻むクートの共和国防衛隊に対して徹底的な攻撃を加えた。一方的で猛烈な空爆の下、大量のイラク兵士の命が奪われたに違いない。
ロイターによれば、きのこ雲はクートの共和国防衛隊バグダッド師団の宮殿から立ち上っているという。米中東軍ブルックス作戦副部長は「バグダット師団は撃滅された」と発表した。短期間での首都包囲陣の構築を狙うアメリカ軍が、バグダッド師団の一挙的壊滅を目的に燃料気化爆弾を使用した可能性は強い。
燃料気化爆弾は極めて大きな破壊力を持ち、窒息性ガス兵器と同じような効果を持つ。国連人権小委員会の決議でも認められているように、明らかな大量破壊・非人道兵器である。燃料気化爆弾の使用は、防御手段を持たないイラク側に対する圧倒的で過剰なまでの破壊力・殺傷力の行使であり、絶対に許されない。
※Two massive bombs explode near Iraq's Kut -witness − NEAR KUT, Iraq, April 2 (Reuters)
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L02282952.htm
※Republican Guard Division Destroyed, Commander Says − Reuters Wed April 2, 2003 08:10 AM ET
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=2493951
■ 戦術核に準ずる破壊力:超高温の炎・熱線と人為的窒息状態で多数の人間を一挙に焼き尽くす。想像を絶する衝撃波で周辺の構築物全てを壊滅させる。
アメリカがクートで使用したとされるデイジーカッターは、おそらくBLU−82と呼ばれる燃料気化爆弾である。BLU−82は、総重量6.8トンの巨大な爆弾で、弾体には5.7トンのアルミニウムパウダーと硝酸アンモニウム、ポリスチレンの混合物が詰められている(※1)。BLU−82は、C130輸送機から投下され、地表すれすれで炸裂し、詰め込まれているアルミニウムパウダーを拡散、空気と混合して点火する(※2)。
BLU-82 (US Air Force Museum)
空気と混合された可燃性粉末あるいは可燃性の気体による爆発は、非常に速いスピードで伝播するため、1平方センチメートル当たり数十kg〜数百kgという、高性能爆薬よりもはるかに高い圧力の衝撃波を作り出す(その爆発のメカニズムは炭坑での粉塵爆発と基本的に同じもの)。このような高い圧力の衝撃波は、核兵器以外では生み出すことができない。しかもその衝撃波は、通常の爆薬のように1点から広がる形で作り出されるのではなく、広い空間から生み出されるので、持続時間が長い。このような持続的な衝撃波も、核兵器以外では生み出すことはできない。気化爆弾、あるいは粉塵爆発を引き起こすこの種の爆弾は、爆発点近傍では、核兵器ときわめてよく似た破壊・殺傷効果を与えるのである。
CIAのレポートは燃料気化爆弾について次のように述べている。「気化爆弾の爆圧は、短距離小型核爆弾のそれにほぼ等しい。限定地域使用の気化爆弾の威力は絶大である。爆心の付近は跡形もなく破壊される。外周部では体内に多くの障害をもたらすと思われる。この場合の体内障害とは、鼓膜破裂、内耳器官破壊、強度の震盪、肺臓および内臓の破裂、場合によっては視力の完全喪失である」。
BLU−82はこの種の兵器の中でも、最大の破壊力を持つ。その衝撃波は、地上の構造物と比較的脆弱な地下施設をことごとく破壊し、地表に巨大なクレーターを作り出す。また遠くまで届く衝撃波は、肺胞の破壊、内臓破裂といった致死的な効果を広い範囲に及ぼす。さらに広大な空間が一挙に1000度以上に加熱されるので、数百メートル四方が焼き尽くされ、激しい燃焼は周辺地域の酸素を奪う。激しい上昇気流は、大気上層に達するようなキノコ雲を作り出す。たとえ、地下壕に隠れ、衝撃波を免れたとしても、高温の炎と窒息効果によって、投下地点周辺に存在する人間は、ことごとく殺されるのである。
小型の気化爆弾の爆発
(写真:Federation of American Scientists)
通常兵器の範疇をはるかに超え、戦術核に準ずるような破壊力の大きさ、殺傷効果の無差別性、非人道性からして、BLU−82および燃料気化爆弾は、明らかな大量破壊兵器・非人道兵器である。また、この燃料気化爆弾は窒息性の効果を持つため、国際的に使用が禁じられている窒息性ガス兵器に該当する。国連人権小委員会は、1996年8月、「核・化学・生物兵器・気化爆弾・ナパーム弾・クラスター爆弾・劣化ウラン兵器の製造・使用の禁止を求める決議」を採択している。アメリカによるBLU−82の使用は明らかな戦争犯罪である。
※1:粉塵爆発を利用するBLU−82は、厳密な意味では、ガスを利用する燃料気化爆弾(FAE:Fuel Air Explosive)ではないが、その基本原理および破壊・殺傷効果は燃料気化爆弾とまったく同じである。
※2:BLU−82は1万5,000ポンド(約6.8トン)という超弩級の重量から、通常の爆撃機ではなく、C130輸送機のカーゴベイに積載され、運用される。
■非難の声を挙げなければ燃料気化爆弾の使用がエスカレートする危険性。
BLU−82は、ベトナム戦争末期に初めて使用され、湾岸戦争では11発のBLU−82の使用が明らかになっている(湾岸戦争で使用されたBLU−82の爆発を見たSASの兵士は、戦術核の使用かと誤認したとも言われている)。さらに対アフガニスタン戦争では、4発の使用が確認されている。
史上最大の燃料気化爆弾MOAB
(写真:GlobalSecurity.org)
アメリカは対アフガニスタン戦争まで、その破壊力の大きさと殺し方の残忍さから、対人兵器としての使用を公然と認めることをためらってきた。対アフガニスタン戦争まで、BLU−82は対人目標に使われていないことになっていたのである。ベトナム戦争では、「森を消滅させ、ヘリコプターの発着場を作るため」に使われたことになっており、湾岸では地雷原除去のために使われたとされてきた。湾岸戦争時、報道各社は当初、このBLU−82をイラク側の「恐ろしい新型兵器」と全く逆に報じた。米当局による世論誘導である。しかしその後、アメリカによる使用が隠せなくなってくると、国防総省関係者はクウェートの地雷原を除去や、心理的効果を目的に使っているのだと言い始めた(※3)。
ところがアフガニスタン戦争では、それまでの態度を変え、国防総省は対人兵器であることを隠さなくなった。記者会見の場で「人を殺すために使ったのだ」と公然とコメントし、アフガニスタンに対する使用目的は、タリバンの地下施設の破壊と、兵士の一挙的な殺害であることを認めるようになった。
MOABとBLU−82の比較
(写真:GlobalSecurity.org)
隠せなくなったというだけではない。アメリカはその残虐性を隠さなくなったのである。アフガン以降アメリカは、燃料気化爆弾の使用について、歯止めを失い、エスカレートをはじめている。
アメリカは対アフガニスタン戦争の直前から、BLU−82を硬化目標貫通型に改良した新型の燃料気化爆弾BLU−118の開発を進め、アフガン東部のトラボラ掃討戦で実験的に使用した。
さらにアメリカは、MOABと呼ぶ、BLU−82の約1.5倍の重さを持つ超弩級の精密誘導型気化爆弾の開発を進めてきた。「すべての爆弾の母(Mother of All Bombs)」がその名の由来だという。その名の通り、史上最大の爆弾である。そしてイラク戦争に先立って、イラク指導部を「衝撃と畏怖」せしめることを目的に、アメリカはMOABの投下実験をおこなったのである。
■支持表明した小泉政権も大量破壊=非人道兵器使用の共犯者。
戦況が思惑通りに進まなければ、さらに米軍が燃料気化爆弾の使用をエスカレートさせる危険性は高い。BLU−82の大量投入のみならず、MOABを投入する危険性もある。都市部の作戦で、これらの燃料気化爆弾が使われ始めれば、兵員だけでなく民間人も大量に殺害されることになる。
アメリカによる燃料気化爆弾の使用は明らかな戦争犯罪である。このような兵器を躊躇なく使う、残忍なアメリカの戦争に反対の声を上げていかねばならない。劣化ウラン、クラスター爆弾、ナパーム弾、そしてこの燃料気化爆弾。ブッシュを支持した小泉政権も同罪である。イラクの兵士と民衆を大量虐殺した責任は小泉首相とその政権全体が負わねばならない。
※3:アメリカは、BLU−82の爆発を撮した写真と共に「スカッドよりも強力」「次はお前だ」と大きく書いたリーフレットを作成し、イラク兵士にばらまいていた。BLU−82の圧倒的な破壊・殺傷能力を見せつけ、イラク側の戦意を喪失させようとしたのである。BLU−82が対人目的の兵器であることを示すものであり、実際にイラク兵に対して使用されなかったとは考えにくい。事実今回のイラク戦争では、兵士の大量殺害のために使用された。
2003年4月4日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局