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イラク戦争が終結局面を迎え、戦後復興に向けた政府の対応は、米国主導の復興人道支援室(ORHA)への要員派遣問題が当面の焦点になってきた。外務省は、ORHAを国連承認の機関としたり、各国が要員派遣する国際機関とすることで派遣に向けた政府内のコンセンサスを作りたい考えだが、米国や主要各国の出方には不透明な部分もあり、ORHAの国際的な位置づけが問題になる可能性もある。
「まずORHAや暫定行政機構(IIA)の位置づけを明確にする必要がある」。茂木敏充副外相は10日の記者会見でこう語った。川口順子外相が13日に英仏独訪問から帰国するのを待って、仏独の本音も探りながら詰めていく考えだ。
外務省内では「米国の復興への動きは早い。日本も早期に人を出すべきだ」(幹部)との声が強い。「ORHAに足場を築けば『国作り』のプロセスのIIAに主体的に参画できる」(同省筋)との計算がある。
外務省が現在、クウェートにあるORHA事務所にクウェートとロンドンの日本大使館職員2人を継続的に派遣しているのも、近くイラクで本格展開する予定のORHAへの参加に布石を打っておく狙いがある。
ただ、首相官邸は慎重な構えを見せる。福田康夫官房長官は10日の記者会見で、ORHAへの要員派遣も含む復興支援への具体策については「どういう視点から復興支援の協力ができるか、状況をみながら判断するしかない」と述べた。
政府は、フセイン体制の崩壊が「予想以上の早さ」(政府筋)だったこともあり、国際情勢がどう動くか見通せていないのが現状だ。ORHAのような占領行政は80年の政府見解で「交戦権行使の一部」とされ、従来解釈との整合性を指摘される可能性もある。
このため、国連をいかにからませるかが重要になる。政府内では「国連が重要な役割を果たす」といった包括的な安保理決議案を採択させ、そこにORHA承認の文言を盛り込む、との案も検討されている。「ORHA承認の決議がなくても文民部門への要員派遣は可能」(幹部)とはされているが、国連決議があったり、ORHAが米国の機関ではなく国際機関になれば「国際社会のお墨付きで正々堂々と要員派遣できる」(同省筋)という読みがある。
ただ、米国はあくまで米主導の暫定統治の姿勢を崩していない。
政府内には「米国は、戦後統治から仏独を締め出すために『戦争は終わっていない』と言い続けるのではないか」(官邸筋)として、米が戦後復興を有利に進めるために「戦争終結宣言」のタイミングを遅らせているという見方もある。
米国が、ORHAへの参加国を選別する可能性もある。そうなると「対抗措置として仏独露がORHA承認の決議に反対する可能性もある」(首脳)とされ、復興プロセスは複雑化する。
川口外相は訪欧で「国連の十分な関与」などを求めた「復興5原則」を説明し、国連主導を主張する英仏独と米国との間の「落し所」を探りたい考えだが、日本が中に入ってたとしても調整作業は難航しそうだ。
【及川正也、川上克己】
[毎日新聞4月10日] ( 2003-04-10-21:35 )