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【アンマン福島良典】米英軍の攻撃でイラクのフセイン体制が崩壊し、ラムズフェルド米国防長官が9日、「イラクから逃れる人々の動きを助長している」などとしてシリアを名指しで非難したことで、イラク同様に米国が「テロ支援国」に指定しているシリアやイランは”次ぎの標的”になりうると警戒を強めるものとみられる。米国が「中東民主化」構想を掲げるだけに、言論統制の厳しいサウジアラビアなど親米国も困惑を深めるとみられる。
ラムズフェルド長官の発言は、フセイン政権指導部がシリア国内に逃走しているとの見方を示したとみられる。同長官は先月下旬、イラク軍を支援するため、夜間戦闘用暗視ゴーグルなどの軍需物資がシリアからイラクに持ち込まれていると非難したばかりだ。
シリアからは米軍の侵攻に反発するアラブ諸国出身の多数の義勇兵がイラク入りしたことや、シリア政府がこの戦争に批判的な立場を取り続けていることも背景にあるとみられる。9日の長官発言に対し、シリアは沈黙を守ったままだ。
また、イラクのフセイン体制はイスラム教スンニ派を主体とする独裁制だったが、イラク人口の60〜65%はこれまで反体制派として抑圧されてきたイスラム教シーア派だ。戦後のイラク暫定機構の顔ぶれは未定だが、シーア派が要職を占める可能性がある。イラクにシーア派寄りの新政権が出現すれば中東地域のパワー・バランスが一気に崩れ、イランの政治的影響力は格段に増す。
米国がイランの核開発疑惑を指摘してきたのはそれを見越したためとの見方がある。イランは国際原子力機関(IAEA)の査察を積極的に受け入れるなど、米国に攻撃の根拠を与えないよう懸命だ。
「新生イラク」の統治形態についてシリアは「米国による軍政は占領政府だ」とブッシュ米政権をけん制。イランも戦争の早期終結のために国連の介入を要請してきた。両国ともに戦後イラクの建設にあたり国連の役割を強めることで米国支配色を弱めたい意向とみられる。
ブッシュ米政権が「イラク解放」を手始めに、中東民主化に本格的に乗り出せば、中東諸国の既存の政治体制を揺るがす可能性があり、事実上のイスラム原理主義政権といえ、体制批判はご法度のサウジアラビア王制も警戒を強めている。
[毎日新聞4月10日] ( 2003-04-10-22:10 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20030411k0000m030080002c.html