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【ロンドン岸本卓也】イラク戦争終結後の暫定政権づくりを段階的に進める英国案が9日明らかになったことで、イラク新体制に対する国際社会の関心が集まり始めた。米英は暫定政権づくりに国連の関与を認めているが、その内容は明らかにしていない。イラク戦争に反対したフランス、ドイツ、ロシアは国連主導を主張して米英をけん制している。イラクの新政権をめぐる大国間の駆け引きが活発化し始めた。
●不可欠な役割
ブッシュ米大統領とブレア英首相は8日の英・北アイルランドでの会談でイラクの戦後処理で国連の役割を「不可欠な役割」と述べた。「不可欠な役割」について米英間で意見の差異があるようだ。ブッシュ政権内部では、国連は人道支援物資の供給などに限って復興に貢献できるという考え方が強い。一方、英国は暫定政権づくりに国連の役割を与えてもよいと考えている。国連に重要な役割を与えることでイラクの戦後処理に国際社会の幅広い支援を得られるからだ。イラク攻撃の是非をめぐって生じた仏独露との亀裂を修復できる可能性もある。
●仲介に入る英国
ブッシュ米政権にしても国際社会の協力を得られるならば、ある程度の国連関与を認める方針のようだ。たとえば、暫定政権のイラク側代表者の人選に対し、米英主導の場合でも国連が承認を与える役割を担うという方法だ。
英国は実質的な暫定政権づくりは米英で進め、それを承認する権威として国連を尊重する案を仏独露が了承すれば米英と仏独露の対立は解消できると見込んでいる。しかし、英国としては暫定政権づくりのイラク側代表者の人選で米国主導が露骨に表面化すれば仏独露の理解を得られないとして、米政府に自制を促す方針だ。
●利権も絡む戦後
一方、独仏露は戦後処理に国連主導を主張してイラクの新政権が米国主導に傾かないようにけん制していく構えだ。新政権が米国の傀儡(かいらい)化すると、イラクの石油資源の取引などを米国企業が独占する恐れがある。仏露はフセイン政権と商業的取引の権利を保有していたが、政権崩壊で、それを失う可能性が出てきた。
とくに、フランスはフセイン政権時代にイラクの輸入先の5分の1を占め、石油代金を食料援助に替える国連の制度で穀物などをイラクに輸出してきた。イラクの新政権づくりは、戦後利権の絡む外交的対立をはらんでいる。
[毎日新聞4月9日] ( 2003-04-09-22:33 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030410k0000m030107000c.html