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イラクの首都バグダッドで9日、低所得者街の住民が、進攻した米軍を「解放者」として歓迎するなど、大規模な反フセイン街頭活動が発生した。首都全域では政府庁舎や、公共施設などを狙った略奪が起こり、首都を含むイラク各地で無政府状態となっている。首都街頭にも警官や軍人の姿は見られない。
米英政府は「戦闘終結ではない」としているが、過去数日続いたイラク側の抵抗は9日朝(日本時間9日午後)以降、首都でほとんど止んでおり、フセイン政権は崩壊した。
◆「もはやサダムはいない」◆
【カイロ=秦野るり子】大規模な街頭活動が起こったのは、バグダッドのサダムシティーと呼ばれる地区。同地区にはイラク時間の8日から9日にかけ、米海兵隊第1遠征軍が入り込み、通りごとに制圧を進めた。9日午前になって、同地区の住民は、街頭に出て、米海兵隊車両を見かけると、「もはやサダムはいない」「あなたたちが大好きだ」などと、叫び、喜びを表現した。
サダムシティーは、イスラム教シーア派住民が多く住む低所得者街で、フセイン政権の厳しい弾圧を受けており、同地区での街頭活動は、フセイン政権の治安機関がもはや機能していないことを示している。
また首都各地で、政府庁舎など公共機関を狙った略奪も発生し、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」は、首都郊外で住民が、支配政党バース党の幹部らを襲撃、殺害し始めたと伝えた。
◆フセイン大統領の安否、所在は依然不明◆
一方、フセイン大統領の安否、所在は、9日午後(日本時間9日夜)になっても、依然、不明なまま。イラク国営テレビは8日に続き、9日も中断されたままだ。ラジオは9日も、愛国的な曲を流し続けるだけの異様な状況が続いている。
また、連日、記者団の前に登場しきたサハフ情報相は、8日昼以降姿を見せていない。
大統領の2人の息子など政権の中枢人物も一切、沈黙を守ったままだ。また、バグダッドのパレスチナ・ホテルを拠点とする外国人記者らに対応してきた情報省職員も9日は、姿を現していないという。
◆フセイン政権の機能止まった…米軍幹部◆
【アッサイリヤ米軍基地(カタール)=加藤賢治】米中央軍のブルックス准将は9日の記者会見で、「フセイン政権がバグダッドの支配を失った」と言明し、バグダッドでの略奪行為、無政府状態に関して、もはやフセイン政権の機能が止まったとの認識を示した。
米軍部隊はこの日、チグリス川東岸にある首都中心部のタハリール広場を戦車など約20台の車両で占拠し、アラビア語で住民に向け拡声器で抵抗しないよう呼びかけている。フセイン大統領の生地ティクリートでは、地上戦に備え空爆を主体にした攻撃を続けている。同市は、「第二の首都」と呼ばれるだけに、イラク全土を完全掌握するにはカギを握る都市だ。
◆英首相、イラク政府は大混乱との認識◆
【ロンドン=土生修一】ブレア英首相は同日、英下院で「だれが降伏を宣言出来るのか判断するのが難しい」と述べ、米英軍がイラク政府の現状が大混乱状態に陥っているとの認識を示した。
一方、英首相府報道官は9日、記者団に対し、「(フセイン政権による)バグダッドの支配は崩壊したように思える」と語った。しかし、同報道官は「米英軍は、依然として民兵による頑強で激しい攻撃に直面している」として、戦闘が継続していることを指摘した。
(2003/4/9/22:02 読売新聞 無断転載禁止)