現在地 HOME > 掲示板 > 戦争31 > 236.html ★阿修羅♪ |
|
イラクの首都バグダッド攻略を目指す米英軍は7日午後(日本時間同日夜)、バグダッドにあるフセイン大統領と2人の息子が潜むとみられる施設に空爆を行った。大統領らの生死は不明。また、バグダッド中心部に侵攻し、主宮殿の共和国宮殿を占拠した米地上部隊は7日夜も同宮殿で占拠を続けた。同宮殿付近では8日早朝もイラク軍との激しい戦闘が起こった。一方、バグダッドをはじめ南部ナシリヤで7日、フセイン大統領に反発を抱く市民と、大統領に忠誠を誓う武装組織などとの間で衝突が発生、バグダッドでは60人以上の死者が出たという。今後、こうした住民蜂起や暴動がイラク全土に拡大する可能性がある。
【ワシントン佐藤千矢子】米FOXテレビなどによると、米英軍は7日午後、バグダッドでフセイン大統領と2人の息子を含むイラク政権指導部が潜んでいると見られる施設への空爆を行った。バンカーバスター(地中貫通爆弾)が使われた模様だ。作戦の成否は明らかになっていない。同日朝、施設に関する有力情報を入手したのがきっかけ。米国防総省高官が複数のメディアに明らかにした。
また、ロイター通信の従軍記者によると、7日夜、バグダッドにある主宮殿の共和国宮殿には「戦車4両がとどまり、兵士らが非常にくつろいで敷地内を歩き回っている姿が見られる」という。
同通信などによると、8日午前5時(日本時間午前10時)ごろ、米軍が占拠しているバグダッドの宮殿付近で、5回の大きな爆発音に続き、炎が上がり、銃声が聞こえた。
一方、米中東軍のブルックス作戦副部長は同日の会見で「地上部隊の指揮官らはバグダッドのどの部分の制圧を維持するか決断するだろう」と述べ、米地上部隊が市内の一部地域でこのまま駐留を続ける可能性を指摘した。
ラムズフェルド国防長官と共同会見したマイヤーズ米統合参謀本部議長は、米地上部隊が大統領宮殿を占拠した目的について、(1)イラク政権と国民に政権が終わるというメッセージを送る(2)政権指導層や大量破壊兵器などに関する手がかりを入手する――ことだったと述べ、示威と情報収集のための行動だったことを明らかにした。
さらにイラク共和国防衛隊が保有していた戦車約800両は、米英軍による破壊や放置で大半が失われ、現在25両ほどに減ったとして、同防衛隊の戦力低下を指摘した。
ラムズフェルド長官はまた、「(フセイン大統領は)もはやイラクのほとんどを支配していない」との認識を表明、「フセインのいない生活は遠い夢ではなくなったことをイラクの人々に保証する」と述べ、フセイン政権の崩壊が迫っていることを強調した。
長官はさらに「勝利宣言」の時期について、ブッシュ米大統領やブレア英首相らが決定することと断ったうえで、(1)フセイン政権の変更(2)イラク国内での米英軍の行動の安全(3)大量破壊兵器情報を保有する人々の招集――などができることが判断基準になるとし、「少し時間がかかる」との見通しを示した。
【アンマン小倉孝保】国営イラン通信によると、バグダッド市西部や南部で7日、フセイン政権に反発を抱く市民とイラク政権政党・バース党員との間で激しい銃撃戦が起き、市民側に60人以上の死者が出た。バグダッドに残る同通信記者が伝えた。
英BBC放送によると、南部ナシリヤ中心部では同日、フセイン大統領に忠誠を誓う武装組織メンバーと反フセイン勢力が銃撃戦を繰り広げた。負傷者の有無は不明。
また、イラクからの報道によると、南部バスラでも同日、バース党事務所やホテル、病院などに若者らが侵入し家具などを略奪した。シェラトンホテルではロビーのカーペットなどが奪われた。16歳の若者は「ここの品物はフセイン体制が集めたぜいたく品だ」とフセイン政権への不満を訴えたという。また、病院では、市民が高価な医療器具や救急車を奪おうとし病院職員ともみ合った。病院側は英軍に助けを求めたという。
フセイン政権下では、治安・情報機関や政権政党バース党による徹底した住民監視が行われてきた。このため、密告社会下で住民同士の憎悪が深まってきたとされる。米軍のバグダッド侵攻で、フセイン政権の終えんを感じ取った市民らが反発を強めている。
[毎日新聞4月8日] ( 2003-04-08-12:19 )