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http://www.asahi.com/international/update/0408/015.html
イラク報道、戦禍伝えるアルジャジーラと戦果の米FOX
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米軍によるバグダッドの大統領宮殿占拠を、米国と中東の電波メディアはそれぞれどう伝えたのか。7日深夜から8日未明の放送を比較すると、米国のケーブルテレビ局FOXニュースが戦力の格差を誇示することに重点をおいたのに対し、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは被災市民の表情を手厚く伝えた。両者の視点の違いが浮き彫りになった。
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アルジャジーラは、米軍の大統領宮殿占拠の事実をさらりと紹介しただけだった。モスル、バグダッド、バスラなどイラク国内の主要都市にいる特派員の現地報告を中心に放送した。
宮殿占拠については、FOXニュースの特ダネ映像はなし。司会者が事実を伝えた上で「米軍は力を誇示したかったのだろうが、本格的な戦闘はこれから」とする元エジプト軍幹部のインタビューを使って淡々と報じた。
力を入れたのは、この日の市民の表情だった。バグダッドからは「米軍が市内の民家を立ち入り調査している」と報じ、家から庭に追い出され、銃を構えた米軍の前でひざまずいておびえる女性や子どもの映像を紹介したほか、負傷者があふれる市内の病院を取材した。北部のモスルからは「(米軍の誤爆で死者が出たが)米国との協調関係は今後も変わらない」とするクルド人勢力幹部のインタビューと一緒に「フセインに命をささげる」とこぶしを上げる市民の声を伝えた。
英米軍側とイラク側の会見の内容は約1時間の枠で正味5分程度。米中央軍前線司令部ブルックス准将、サハフ情報相などの会見を均等に手短に伝えた。
クウェート人軍事評論家とイラク人ジャーナリストの対談番組では「民主化後のイラクとの友好関係構築を期待する」と話した評論家に、ジャーナリストが「私たちは湾岸戦争の恨みを忘れていない」とかみつく一幕があった。
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FOXニュースは、イランとクウェートの通信社がバグダッドでサダム・フセイン派に対してイラク市民が蜂起し、サダム派が私服に着替えて逃げ出していると報じたことを繰り返し伝えた。
「イラク市民がどれくらい見たかわかりませんが、FOXが世界に届けた米軍の戦車が大統領の宮殿を包囲する映像が蜂起につながったのかもしれませんね」。カタールからの報告でキャスターが言うと、隣の記者も同意し、「イラク市民は新しい世界が到来したことを悟り、米英軍を信頼し始めているのではないでしょうか」と話した。
キャスターはさらに「戦争が始まってまだ20日しかたっていないのに、あんなすばらしい映像が見られるとは思わなかった」とも。第2次世界大戦中、政権の終焉(しゅうえん)を悟ったヒトラーがピストルで自殺したことをあげ、「サダムもこうなる運命だと多くの人は見ているのでしょうか?」と、元米中央情報局(CIA)要員に問いかけた。
イラク側の情報はほとんどなく、サハフ情報相が記者会見で米英軍の侵攻を否定した映像を数秒流しただけ。キャスターは「(米中央軍の)フランクス司令官が情報相と会っても、まだ『米軍はいない』と言い張るのではないか」と皮肉った。
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<アルジャジーラ> 96年にカタールに設立された24時間放送の衛星テレビ局。島または半島の意味。記者の大半は中東諸国出身で英BBCの経験者が多く、「中東のCNN」とも呼ばれる。民間放送だが、カタールの王族らが経営権を握る。一昨年10月のアフガン空爆直後、オサマ・ビンラディン氏の肉声ビデオを放映して世界に知られた。視聴者は中東・湾岸地域に3500万人、欧州800万人、米国に15万人。イラク戦争では捕虜や兵士の死体映像を流し、米英から「イラクの手先」と批判された。
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<FOXニュース> 映画会社やテレビ局などで構成する米FOXグループの一つで、ニュースを24時間流すケーブルテレビ局。世界の「メディア王」、ルパート・マードック氏率いる豪ニューズ・コーポレーション傘下にある。米3大ネットワーク、CNNテレビと合わせ、5大ネットとも呼ばれるが、最も保守的と称されることが多い。イラク戦争では2月にバグダッドの特派員がイラク政府から追放されたものの、米ケーブルニュース局の視聴率争いではトップを走っている。 (04/08 15:06)