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【バスラ=貞広貴志】略奪行為にさらされていたイラク南部バスラで13日、治安回復を図る駐留イギリス軍と地元警察官が合同パトロールを始めた。無政府状態からの早急な脱却を図るため、既存の警察機構の活用に踏み切ったもので、バグダッドなど他のイラク都市での治安回復のモデルケースとなりそうだ。
13日昼、装甲輸送車と軍用車両に分乗した約10人の英軍兵と4人のイラク人私服警察官は、バスラ北部の貧しい住民が住む集落を訪れた。すぐに「ミスター、ミスター」と熱狂的に呼びかける子供らに囲まれ、パトロールは歓迎パレードと化した。水や薬を求める住民の陳情も後を絶たず収拾がとれなくなったため、初パトロールは5分間ほどで切り上げたが、英軍を敵視する雰囲気はもはやどこにもなかった。
「われわれは警察ではなく、大都市の治安を保つには(バスラ陥落後、職務放棄した)地元警察官を警察署に戻さねばならない」。バスラ駐留英軍のマーク・パーシー少佐が、汗だくになって警察本部に集まった約300人のイラク警察官の身元確認をしながら言う。
本部長の補佐をしていた警官歴30年のアブドラアミル・カーセムさん(56)は、「泥棒どもはわれわれを恐れている。人々のために働いてきた警官は、今後も役割を果たせる」と胸をはった。ただ、同僚の中には今までのままでは報復を受けるかもしれないと、制服はビニール袋に入れて私服で来た人も目立つ。パーシー少佐は、「住民がフセイン政権の一部だった警察を恐れているのは承知している。英軍が一緒に行動することで、不安を取り払いたい」と言う。
バスラ市内を回ると、政府関係の建物を中心にドアが引きちぎられ、焼けこげた建物を随所で見かける。米英軍の爆撃より、住民の略奪や焼き打ちで壊された建物が目立つ。ほとんどの店は今もシャッターをおろしたままだが、通りには少しずつ人影が戻り、散乱した残がいを片づける光景も見られ始めた。
駐留英軍が基地を構えるフセイン大統領の旧宮殿前は13日朝、通訳などとして働くことを希望する人たちでごった返した。「住民の大多数は米英軍を歓迎している。日給3ドルという低賃金には驚いたけど、タダでも働きたい」。医学生のハルドゥン・アラさん(24)が明るい笑顔を見せる。
12日昼には、開戦直後から止まったままだった電気供給が再開し、人々の家に明かりがともった。最大の懸念材料だった飲料水不足に関しても、運搬を担う英軍グルカ兵部隊のプレム・リンブさんは「最初は配給の水に殺気立った人々が群がっていたが、事態は毎日よくなっている」と言う。
ただ、リンブさんが水を配給した同じ敷地にある病院では、米英軍による空爆で母親と3人の兄弟、それに自らの右足を失った少女ザイネブ・ハメールさん(10)が横たわっている。「飛行機の音を聞くと目と耳をふさいでしまう」(祖母の話)という心身ともに痛々しい姿は、戦争の傷跡の深さを示す。
(2003/4/14/02:21 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030413i413.htm