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9.11、アフガニスタン攻撃、イラク攻撃、そして石油とイスラエルが存在する中東全体の改造へとつなげていく流れを振り返れば、そこに出来すぎたシナリオの憶測を呼んでもおかしくない。そこにはテロ組織またはテロ支援国家攻略、石油覇権、イスラエルの利益(パレスチナ問題を含めて)など複数の利益国益を軍事政策に織り込むというアメリカ一流の計算がある。
アメリカ悪玉論をよく目にする。ここではアメリカの新保守主義派の世界戦略を考えてみたい。
悪名高い「ブッシュ・ドクトリン」の中でも先制攻撃論と国連軽視(国連無視)は特に批判の対象にされる。
リチャード・パールを含むブッシュ政権の戦略的なシンクタンクとして、ディフェンス・カウンセルという非公式な組織がある。ジャクソン派の政治グループとされるこの機関は、アメリカの安全保障を最優先し、世界に単一市場体制を確立することを考えているグループだ。
アルカイダのネットワークは世界中に存在する。9.11テロ以降のアメリカの政策は、「汎地球的戦略」(T・バーネット)のもとで行われている。「国家対国家」の次元からの物の見方から、アメリカの安全保障政策において増えたもう1つの「国家対テロ組織」「国家対テロリスト」という次元で物を見れば、対テロ戦略の対象地域は全地球規模となる。それらを管理下に置き、監視下に置くことは戦略論の帰結になる。
アメリカの対テロ戦略はその対象地域が地球規模だ。
パレスチナ・テロ組織はイラン、サウジアラビア、シリアが資金と兵器を提供しているといわれる。フセイン政権崩壊前はイラクもそれらを提供していた。
アメリカの中東支配は、アルカイダよりもヒズボラなどのパレスチナ・テロ組織へ流れ込む兵器と資金を減少させる効果が大きい。この点ではイスラエルの利益のための政策だ。しかし潜在的にこの流れがアルカイダへ向かう可能性もある(サウジアラビアはすでに行っている)。それを想定すればイラン、サウジアラビア、シリアの三国とその資金と兵器のネットワークはアメリカの攻撃の対象となる。
イラクも、イランも、サウジアラビアも、シリアも、北朝鮮も、中国も、それらの非民主国家に対する政権転覆、攻撃は、「汎地球的戦略」の一貫に過ぎない。
9.11の演出とブッシュ政権のかかわりは知らない。しかしそれ以後、時代が変わった。
本来、先制攻撃は戦争手段の常識の一つだ。国際社会は長い間それを認めなかった。しかし、アメリカによる先制攻撃論は新しい戦争の論理になりつつある。先制攻撃論の良し悪しではなく、現在の世界の安全保障はアメリカによる先制攻撃論の上に成り立っているのは事実だと思う。大量破壊兵器の開発を続ける金正日のような独裁者や非民主国家が世界中に存在し、テクノロジーとともに破壊規模も危機レベルも日々増大している現在の世界の安全保障は、やはり20世紀と同様アメリカが担当していて、それは先制攻撃論に支えられる部分が大きい。国連を始め、国際社会がいままでやってきたことは極めて曖昧で、日々増大する危機を放置してきただけだ。
国連は世界の安全保障については十年以上も前からその果たす機能を失っており、すでに形骸化している。時代遅れの兵器しか持たないフランスに何ができるのか。徹頭徹尾自国の国益という結果しか出さないプーチン・ロシアは、常任理事国としては失格。形骸化している国連を尊重しているほどアメリカの危機管理能力は低くない。
アメリカがアルカイダ・ネットワークに狙われるのは、「欲望国家」としての歴史を進んできたアメリカの自業自得だという側面は非常に大きい。しかし大量破壊兵器のテクノロジーが増殖してしまった現代の世界の危機管理を行う能力はアメリカにしかなく、そこではディフェンス・カウンセルなどのようなアメリカの安全保障を最優先し、世界に単一市場体制を確立する戦略目的を持った集団が、アメリカのために世界を動かしている。
参考文献
『世界大変動が始まった』(日高義樹著)
「SAPIO」03.4.23号
DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html