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●“プライベート・リンチ”こと、ジェシカ・リンチ上等兵をめぐる
武勇伝と“名誉の負傷”の、初期の大本営発表&飴マスコミ報道には、
とんでもない誇張があったという話は、すでに下記で紹介しました。
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ジェシカ上等兵の父親が証言――救出された米軍戦争捕虜には、
マスコミが宣伝していたような「銃創」も「刺し傷」もなかった
http://www.asyura.com/0304/war30/msg/485.html
日時 2003 年 4 月 04 日 11:26:38:
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●そしてパンとサーカスのアメリカの“意識産業”は、
案の定、“プライベート・リンチ”を今回の戦争の“女神”さまに
祭り上げて利用し、アホな国民大衆をだましてカネ儲けに持って
いこうとしているようです。
●「プライヴァト・リンチ(Private Lynch)」が
メディアと政府・軍部の淫らな思惑によって
「プリヴィー・リンチ(Privy Lynch)」になってしまうという罠……。
(「privy」というのは「屋外便所」のこと……。)
●二日まえの東京新聞に、デマクラシーの“糞つぼ”に転用されつつある
“プライベート・リンチ”周辺の話がのっていました。
やっぱ、アメリカの香具師らって、いなかのお姉ちゃんに弱いんだな。(笑)
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東京新聞・4月5日付
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030405/mng_____tokuho__000.shtml
特報
リンチさん救出劇、米の思惑
戦争はヒーローやヒロインを生む。今、全米は十九歳の女性兵士の救出ドラマに酔っている。早くも映画化の話まで出ている。「美談」は、戦場の悲惨な実態を覆い隠し、戦意を高揚させる効果もある。だが、多くの捕虜の中で、なぜ彼女だけが電撃的な特殊作戦により助け出されたのか。「ヒロイン」に寄せる米軍の思惑を探った。
ジェシカ・リンチ上等兵救出のニュースに、故郷のウェストバージニア州パレスタインは町を挙げての大騒ぎとなっている。
リンチさんの父グレッグ氏のいとこで工場で働くジェフ・リンチさん(40)は「ジェシカが捕らえられてから町中が落ち込んで仕事にならなかった。救出のニュースを信じられない気持ちで見た。グレッグはあまりの喜びに気を失ったらしい。一度は死んだかもしれないという報道もあったのに、生きて助けられたんだから…」と話した。
■人口1000人の町に全米メディアが
パレスタインは州都チャールストンの北東約百二十キロにある人口千人足らずの町だ。リンチさんが行方不明になって以来、木や電柱などに黄色いリボンを結び、無事を祈っていたという。それだけに救出の報に、花火を打ち上げ、車のクラクションを鳴らし続けるほどの騒ぎとなった。
近所に住む主婦レベッカ・ロウエルさん(46)も「町の人々は毎日、ジェシカの家を訪れて家族をなぐさめ教会に集まって祈りをささげていました。町の祈りが通じた」と喜ぶ。救出ニュースが流れるやいなや、町には米四大ネットワークを含めたほとんどのメディアが殺到した。
報道陣の過熱ぶりを記事にした地元紙チャールストンデイリーのディアナ・レンさん(23)は「町に二台しかない公衆電話にリポーターが群がっていた。この町には携帯電話を使う人もほとんど訪れない。町にはレストランが一つに、ピザ店が一つ。そこが報道陣でいっぱいだ。高校の校庭にヘリコプターで乗りつけたところもあった」と話す。
幼稚園の先生になるために、学費を稼ぐ目的で陸軍に志願したというリンチさんの人となりも、米国のハートをわしづかみだ。既に、映画化でだれがヒロインを演じるかの議論まで出るほどだ。ウェストバージニア大学などいくつもの大学が奨学金を申し出て、すでに入学許可を出した大学まであるという。
町は失業率が15%と州内で最も高く、リンチさんのように進学するために軍からの補助金がほしくて入隊する若者も多いという。前出のロウエルさんは「三十人くらいの若者が入隊していて、ジェシカのほかにもイラクに派遣されている兵士は何人もいる。ジェシカの救出はアメリカ国民にとって大きな希望につながるものとなった」。
■弟入隊、妹も…父「国守るなら」
リンチさんの弟も入隊し、高校生の妹も志願している。娘が前線で負傷し捕虜になったにもかかわらず父グレッグ氏は「子供たちが国を守りたいと思うなら、私たちはサポートする」と報道陣に答えた。
ブッシュ大統領は三日、海兵隊基地での演説で「われわれの若くて勇敢な兵士が、他の勇敢な兵士たちの努力によって救出された」とたたえ、「野蛮な政権が終わろうとしている」と勝利への確信を宣言した。
こうした全米の興奮ぶりに、明治学院大の川上和久教授(メディア論)は「イラクが自爆テロで味方の士気を鼓舞したように、米国もどうしても戦争美談がほしかった。捕虜の救出劇は格好の材料で、巨額の費用をかけて大がかりな救出作戦を行ってでも必要だった」とみる。
■捕虜の中には黒人もいるが
捕虜の中には、リンチさん以外にも黒人女性がいるといわれるが、「リンチさんが白人少女で、キリスト教徒が多い地域出身というのも大きい。戦争を支持している層の心をつかむキャラクターだ」と指摘する。
ただ、軍事的に彼女の救出は可能だったのか。
リンチさんが所属するのは陸軍の整備補給中隊で、ユーフラテス川にかかる橋に差し掛かったところでイラク軍の待ち伏せ攻撃を受け、中隊の五人とともに行方不明になった。これに対し、米軍は救出作戦に海軍特殊部隊SEALを投入した。リンチさんが「サダム病院」でイラク軍に拘束されているとの情報をつかみヘリコプターなどで急襲。これに合わせ、海兵隊の部隊が別の軍事拠点を一斉に攻撃し、イラク側をかく乱し、救出に導いた。
ブッシュ政権に詳しい国際未来科学研究所の浜田和幸代表は「ほかにも数十人捕虜がいるのになぜ彼女だけが救出されたのか。ストーリーとしてできすぎだ」と疑問を呈す。
ただ、軍事専門家の間では、米軍の説明に大きな矛盾はないとの見解が支配的だ。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は「SEALなどにとってみれば今回の作戦は難しい任務ではなかったと思う」と解説する。
■収容先の情報条件そろった
「イラク側から寄せられた情報に基づいて、収容されていた病院の様子は、無人偵察機や、特殊部隊の警戒要員が事前に入念に調べていたはずだ。警戒班は、事前に数日をかけて病院を見張り、病院内部の配置などの情報もつかんでいたのでは。捕虜になった兵士全員について救出作戦が取られるわけではない。今回は、収容先の情報が寄せられたのが大きかった」
軍事評論家の稲垣治氏も「捕虜救出にいい条件がそろったのだろう。複数のイラク人捕虜を尋問し、病院内部の様子まで分かったのではないか。ほかに捕らわれている捕虜でも、条件がそろえば救出作戦を実行するはずだ。リンチさんだから救出したということではないと思う」とみる。
軍事評論家のガブリエル中森氏は、リンチさんだけが救出されたことに「作戦上の結果にすぎないとは思うが、プロパガンダを考えた場合でも効果が大きかったのは間違いない」とみる。
一九九五年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の際には、操縦していた戦闘機を撃墜された米空軍大尉が敵陣に六日間潜んで救出され「ボスニアのランボー」としてヒーローに祭り上げられた。今回も、演出やシナリオがなかったとしても、結果的にリンチさんは戦意高揚の役回りを担わされるのは確かなようだ。
特に本格的なバグダッド攻略を控えた今、その効果は大きな意味を持つと、前出の川上教授は強調する。
「まず女性兵士救出が大きく報じられることで、米国にとって不利なニュースは相対的に小さくなる。本来なら最も注目されるはずのバグダッド市街戦の行方からもマスコミの目をそらすことにもなる」
「これから、彼女の口からイラクの残虐さについての証言が出るはずだ。おそらく軍がトレーニングするはずだが、湾岸戦争のときに『クウェートから奇跡的に生還した』とされた少女ナイラの証言のように国内世論を高める証言になるだろう。そのとき、現在の熱狂ぶりがさらに証言のニュース価値を高める」
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