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【カイロ＝平野真一】米英軍のバグダッド市街進撃を受けて、共和国防衛隊などイラク兵力は６日、総崩れの様相を見せている。フセイン大統領は残存兵力を頼みに市街戦で最後の抵抗を試みる以外に打つ手がないと見られるが、“体制護持”を支えるのは２人の息子らごく少数で、政権生き残りは、日々刻々と絶望的な状況となっている。
大統領が首都防衛の主力と頼んできた共和国防衛隊の弱体ぶりは衝撃的だった。６個師団のうちバグダッド、メディナが早々に壊滅。サダム国際空港（米英軍はバグダッド国際空港と改称）を制圧した米軍が５日、残存兵力の掃討に出撃した際には、戦闘を放棄し、私服に着替えて何食わぬ顔で手を振る多数の隊員まで目撃されている。数万人が市内に退却して市街戦に向けて再編成しているとの見方もあるが、士気の低さは覆うべくもない状況だ。
一方、フセイン体制を支えてきた中枢にも崩壊の兆しが見えている。大統領は開戦前の３月１５日、全国を４地域に分け、各防衛責任者を任命した。このうち、首都担当のクサイ氏は二男、南部担当のアリ・ハッサン・アル・マジド元国防相はいとこ、北部担当のイザト・イブラヒム革命指導評議会副議長はバース党政権発足時からの同志だ。
だが、アル・マジド氏が指揮を執っていたバスラの自宅は５日、米軍の空爆を受け、護衛が死亡。カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」は６日、アル・マジド氏自身が死亡した可能性が高いと伝えた。イブラヒム氏も、大統領との会合出席風景が国営テレビで放映されたものの、具体的な動静は不明。
汎（はん）アラブ紙アッシャルクルアウサトによれば、異父弟のバルザン・イブラヒム元ジュネーブ国連代表部大使は開戦前、大統領の亡命を望んでいる態度を取ったため自宅軟禁とされたと言われる。大統領が頼れるのは、もはや２人の息子しかいない。国営テレビが５日夜、大統領が息子らと開いた会合の模様を放映したのも、それを裏付ける。
ウダイ氏は民兵組織「サダム挺身（ていしん）隊」を、クサイ氏は共和国防衛隊と情報機関を率いており、さらに大統領の親衛隊である特別共和国防衛隊を加えた兵力が市街戦の主力となる。
挺身隊は５日、目立つ黒い制服姿でバグダッド市内に展開しているのが初めて目撃された。また、約１万５０００人規模とされる情報機関の部隊も無傷と見られる。だが、数万人が市外に疎開するなど国民全体が完全に浮足立つ中、こうした兵力が最後まで戦うとの保証はない。
サハフ情報相は６日の記者会見で、各地で米英軍を撃退しつつあると主張し、「敵をすべて撃破した後は、フセイン大統領を指導者とするイラク体制が続くだけだ」と強調したが、日に日に説得力を失っている。
(2003/4/7/00:23 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20030406i114.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。