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【ブリュッセル=鶴原徹也】北大西洋条約機構(NATO)本部で3日、イラクの戦後処理を巡り、欧州連合(EU)とNATO合同の非公式外相会議が開かれた。米欧が戦後処理で協議したのは初めて。
「国連を含む国際社会の関与が必要」との見解で一致し、そのために米欧が協調してゆくことで原則合意した。ただ、「戦後イラクを仕切るのは米国か、国連か」という最大の対立点には踏み込まなかった。イラク戦を巡り米英と仏独の両極に分裂した米欧は、戦後復興を巡り、外交戦第2幕に入ったと言える。
会議は米国の求めで急きょ開かれた。パウエル米国務長官は席上、人道支援や治安回復とその維持、さらに戦後復興には膨大な人手と費用がかかることに言及し、欧州をはじめ広範な国際協力を求める方針を伝えた。
ただ、長官は、サダム・フセイン政権崩壊後の統治形態について、「米政権の方針は固まっていない」と述べるにとどまった。国連の役割については「『主導的』『中心的』という表現より、『重要な』という方があたっている」とし、米国主導の戦後体制構築の枠組みで国連に一定の役割を持たせるとの基本的姿勢を伝えた。
一方、イラク戦争を巡り分裂したEUには、「国連主導の復興」を御旗としつつ、米欧関係の再構築もめざした、再結束の動きが出てきた。
国内外の批判をものともせずに米国支持を貫いてきたブレア英首相は戦後処理で国連主導を唱え、大陸欧州に接近している。英国案は、米英軍は戦争直後の短期間、イラクを統治するが、早急に国連主導でイラク各派代表者会議を開き、イラク人による暫定統治の道筋をつける、というもの。関係が冷却化したフランス、ドイツに支持を呼びかけている。
ただ、英国案は短期間の米英統治を国連安保理が認めることを前提しているものと見られ、「違法な戦争に出た交戦国の統治は受け入れられない」とするフランスがかたくなな姿勢を改めなければ、英仏独を柱に欧州が結束することはできない。
ただ、英仏独は、米国がイラクの戦後体制を仕切ることは、「異教徒の統治」を憎むアラブ民衆の反米感情を燃え立たせ、テロを誘発し、中東情勢を一気に流動化させる危険があまりにも大きいとする点で一致している。米国の一国主義が勢いを増すとの懸念もある。仏独には、EUの結束をテコに米国から国連の役割拡大で譲歩を引き出し、米欧関係を築き直すと共に、巨大な利権も絡む復興に参画したいとの思惑もうかがえる。
(2003/4/3/23:18 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030403i114.htm