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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成15年(2003)4月1日B(火曜日、増刊)
通巻536号
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イラク戦場で考えたこと
(某月某日)砂塵を撒き散らす、という表現はせいぜいシルクロードの出発点となる敦煌あたりまでである。イラクの砂漠では凄まじい砂嵐は日常の風景。カメラは二重三重に保護しても、細かな砂がファインダーから侵入し、5,6本も撮影を終えるとカメラは動かなくなる。
私の乗ったジープにはチュニジアからの新聞記者が同乗してきたが、時代遅れのカメラで戦闘現場を撮影していた。3枚くらい撮ったところでカメラが故障した。40歳くらいの大男だったのに、泣き出した。愕いたが、小生にとっても自分で映したものは貴重なので、分けてあげることは出来ない。「後で良い写真があったら二・三枚送ってあげる」と宥(なだ)めた。当時、私はと言えばニコンとキャノンの望遠レンズ付きの二台を持参した(体力もあったなぁ)。
イラク軍のマスコミ対策と言うのは、じつに荒っぽい。
大砲を撃ち合い、機関銃を撃ち合っている砂漠の戦闘現場へいきなり連れて行くのである。死体がごろごろ、転がって死後三十分で死臭を放ち、蠅が集(たか)っている。クエートの記者らが死者に唾を吐いた。これにも驚かされた。砂漠の民はアラーの絶対神しか信じないが、人間同士は不信感の固まりで接し、裏切りは常。村松剛氏の表現を借りれば「血と沙と祈り」の世界だ。
上記は「イラン・イラク戦争」の最終段階のときに、バグダットの国際会議へ招かれ、さらに軍用機でバスラへ。そこから二時間ほどジープで南下した、ファオ半島の戦闘現場におけるイラク側からの表情で、世界中から70人ほどのジャーナリストが案内された。
日本からはフジテレビがエジプトから、ほかの新聞もいたと思うが記憶がない。フリーカメラマンの平島某氏(どうしても名前がでてこないが、そのあとの湾岸戦争の報道では大活躍した)と脚本家の大山勝美氏(かれは直後の「文藝春秋」に「イラ・イラ戦争観戦記」を書いた)。それに明治大学の越智道雄教授が「ペンクラブ」代表で来ていた。
さて、将校クラブのようなところで、水とサンドウィッチを供され、ようやく一息いれたところで「捕虜収容所」を見学するという。
これまた驚かされたのは「老人と子ども」ばかりではないか。
テレビではイラン兵の死体を街にひきづりまわして歓声を上げるイラク民衆を繰り返し繰り返し放映している。(どういう神経をしてんだろぅ)。
敵愾心を直截にあおる遣り方だが、欧米にも日本にもなじまない残酷な場面である。
捕虜収容所でようやく得心がいったことがある。徴兵は強制的で、彼らは軍事訓練も受けずに兵隊へ算入される。一家の大黒柱は、徴兵を逃れるため、男なら子どもでも老人でも強制的に徴用してくるのだ。
挙げ句、子どもは砂漠をはしって地雷を踏む係。老人は兵力を多く見せる飾り?
逃げると後ろから撃たれる(味方を撃つのは軍律が厳しい軍ではあり得るが、これは軍律というより恐怖方式による戦争の遣り方でスターリンが愛用したスタイルだ)。
こういうことを綴ったのも、今回のイラク解放戦争で、またまた民兵のゲリラ、自爆、奇襲攻撃、米兵へのリンチなど、嗚呼砂漠での戦争形態はちっとも変わらないなぁ。
米軍は総統の苦戦を強いられているようだ。
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