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(回答先: 仏外相「イラク戦争、米英を支持」nikkei.co.jp 投稿者 M 日時 2003 年 4 月 02 日 15:59:08)
『ルモンド』は最近の社説で「我々フランス人は深い自己満足に浸り、ミュンヘン型の融和的態度が精神に宿っているようにみえる。その上、ひどく打算的で、反ユダヤ主義で、言うまでもなく反米主義である。そして我々は“老人”である。これが一部のアメリカの新聞・雑誌が描くフランス人像だ」と書いた。
フランス経済界は、米仏関係の冷却化の先行きを、懸念を持って受け止めている。フランス経済はアメリカのフランス離れで失うべきものが多い。フランスはアングロサクソン型年金基金という巨大な資金のプールを開発し損なったために、フランス産業界はしばしば資金調達を外国人投資家に頼ってきた。2001年のある調査では、アメリカ人投資家はCAC採用40銘柄の40%以上の株式を保有していたが、その後、多くが資金を本国に送還している。過大な負債を抱えたフランス・テレコムは、流動性危機を乗り切るために150億ユーロの資金調達を希望している。政府が90億ユーロ分を引き受けるとみられるが、それでも、昨年同社株を投げ売りしたアメリカの機関投資家が戻らない限り、資金調達の目途は立たないと見られる。
アメリカからの対仏直接投資に与えうる長期的な打撃も深刻である。フランス経済の構造問題や新EU加盟国の台頭が主因とはいえ、2000年のアメリカの対欧州直接投資に占めるフランスのシェアは7%でしかなかった。アメリカ本土の消費者の間でのフランスのイメージも、中西部ほどでないにしろ東海岸でも低下しつつある。仏系ホテルアコーはフランス国旗の掲揚を取り止めたが、反フランス運動はフレンチフライをフリーダムフライと呼び換えるといった程度の些細なものに止まっている。
もっと重要な動きはフランスのアメリカ人観光客の減少が見込まれることだ。2002年には18%減の290万人となった。どの程度が、9.11テロの影響によるものか測るのは難しいが、第一に米仏関係の緊張化の影響を受けるのはフランス観光産業になりそうだ。最悪の場合、二国間の貿易が消費者の不買行動の打撃を受けることになりかねない。共和党議員や右派評論家はフランスブランドのボイコットを呼びかけている。だが、目下のところ、ダメージは限られている。クリスチャン・ディオール等を傘下に抱えるLMVHはこれまでのところ、フランスブランドへの消費者の反乱はない、としている。シラク大統領は「WTOがフランス製品ボイコットの動きを阻止するだろう」と牽制球を投げている。
多分、フランス産業界にとっての最大のリスクは、イラク復興におけるフランスの除外であろう。国連が監視役として主要な役割を果たさなければ、フランス経済界が契約を得るのは難しくなる、とみられている。フランスはアメリカが国際法の下でイラク経済を一方的に支配する権利を持つとの考え方を否定している。だが、すでに米国政府は5つのエンジニアリング企業(いずれもアメリカ企業)にイラク復興計画の入札計画を提出するよう要請したとの報道は、フランスにとって懸念すべき事態の前兆かもしれない。
(英フィナンシャル・タイムズ3月11日)
http://www.nier.co.jp/kijikanri/choryu/choryu-00497.shtml