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(回答先: Re: 続報 [Reuters] 投稿者 F 日時 2003 年 4 月 08 日 02:57:32)
Fさん,
詳細な検索,本当にごくろうさまです。
私の方は,ほんとうに「ちらちら」程度なので。
こちらのニュースの方は,2,3日前に報道された「military training camp」に関するものなので,「搭載可能なミサイル」の件とは別物のようですね。
以下は,まったく素人的な考えですが,仮に化学兵器対応の訓練がイラクで行われていたと仮定しても
訓練施設で行なう訓練の場合,(1)自軍が化学兵器を使う場合を想定しての訓練と (2)敵軍が使用する可能性に対応するために実施する訓練と
両方があるわけですね。
米軍だって,侵攻前に散々(2)に対する訓練を行なってきたわけです。
というか,しっかりした軍隊だったら,現在ではどこでも(自衛隊のことはわかりませんが),(2)の訓練は施しているでしょう。
仮に化学兵器対応の訓練の結果が確認されたとしても,それをすぐに(2)に結びつけるというのは,論理的に言って短絡だと考えます。
もちろん,こういった論理性如何などはおかまいなしに,米軍及び米国政府は「イラクに悪のレッテル」のキャンペーンを行なうのでしょうけれど。
フセイン体制は過去に様々な過ちを繰り返しました。
侵略者に対抗するイラク国民の側に大義があるとはいえ
フセイン体制自体を贔屓の引き倒しするつもりはありません。
しかしながら,あらゆる出来事の責任をフセイン体制になすりつけ,これを「絶対悪」に仕立て上げようとするメディアと米国政府の姿勢に,恐怖感を覚えます。
イラク現政権の立場に立つならば,今回の侵略は,「大坂城の外堀を埋められ」「国家安康」の鐘銘を言いがかりに徳川軍に攻め込まれた豊臣秀頼みたいなものですよね。
湾岸戦争時,フセイン体制の自壊を予測した米国はそこで矛を収めた(イラク国内にその時点で侵攻していたら,今回とは比較にならない損害をうけたでしょう)。
しかし,その期待は裏切られ,シーア派とクルドが凄惨な弾圧を受ける結果になった(反乱軍に対する制圧は,洋の東西を問わず,凄惨なものです。私はフランスが専門なので,パリ・コミューンの悲劇をすぐに想起します。凄惨な弾圧は人道的には許せませんが,イラクだけをことさら非難するのは不合理です)。
そこで米国がとった政策が,経済制裁と査察によるイラク軍事力の骨抜きであった,と考えます。国連決議を錦の御旗にして,「正義の顔」を装い,実は着々とイラク侵略の剣(つるぎ)を研いできたのではないでしょうか。
そのように考えると「イラクは12年間国際社会を欺いてきた」という議論が,あまりにも米国側にとって都合のよい論理であった,ということがわかります。米国こそが,ネオコン台頭以前に,来るべきイラク侵略の可能性を常に国際戦略の中に位置づけて継承してきたのではないでしょうか。
イラク側に立って考えてみるならば,いつ侵略を受けるかもしれないというのに,そうやすやすと虎の子のミサイルを廃棄したり,「オレは丸腰に近い」と宣言できただろうか(核兵器同様,生物・化学兵器は,たとえ持っていなかったとしても,「持っているかもしれない」という可能性だけで,一定の抑止効果が生じますよね。米国の侵略に脅えるイラクは,それを狙っていたのではないか,と考えます)。
「フセイン=悪の独裁政権」という色眼鏡を外して,湾岸戦争の敗北に打ちひしがれ,経済制裁に苦しめられ,米国からの侵略の恐怖に脅えてきた,という政権の側に立って考える想像力があれば,これまでの12年間,そして現在の事態が,さまざまに違った意味で見えてくると思います。
にもかかわらず,米国が世界中に押し付けるたった一つの視点,それだけで物事を見ることを強要される毎日に,心の底から恐怖を覚えています。(かつて,旧社会主義政権に対して一律に押し付けられた見方と同様に。私は東欧の「民主化」を相対的な意味で支持する立場ですが,そのかげで様々な事実や真実が闇に葬り去られたことを恐ろしく感じています)。
過去の侵略戦争によって「すねに傷持つ」イラク,経済制裁によって軍事力を骨抜きにされたイラク,「査察」を通じての「オフィシャル」なスパイ活動を浴びたイラク,「フセイン体制=悪」のキャンペーンを貼られまくったイラク,周辺諸国が連帯して軍事介入することがありえないイラク,国連でつるし上げにあってきたイラク。
侵略こそが国是の1つである米国にとって,これほど牙にかけやすい国があるでしょうか。
これほど非道で,安易で,姑息な侵略戦争は,歴史上も希だと思います。
人類全体にとっての恥辱でしょう。