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★バグダッドから★
03.04.06
From Baghdad
親愛なるみなさまへ
こんにちは。YATCH(相澤恭行)です。相変らずバグダッドでは電話もインターネットも繋がらないままですが、日本人ジャーナリストの協力でなんとか通信手段を得ました。
私は今HUMAN SHIELDS(人間の盾)としてサイトに入って元気に活動しています。サイトはバグバッド南のドーラ地区にある浄水場で、日本人8名、あとフランス人、スウェーデン人、チュニジア人等も合わせて総勢十数名で楽しくやっています。正直言って私も初めは人間の盾について、あくまでも戦争が始まる前の抑止力だと理解していましたが、いざバグダッドに入って話をきいてみて、どうやら始まってからも十分効果を発揮していることに気が付きました。と言うのも、SHIELDSが入っているサイトと言うのは、ここ浄水場や発電所等、市民の基本的ライフラインであって、もし破壊されれば市民生活に多大な影響を与える所であり、我々はそういうところを爆撃されないように守っているわけです。つまり残念ながら戦争は始まってしまいましたが、それでも市民の被害を最小限に抑え、戦時下のバグダッドからメディアを通じて国際世論を盛り上げて、この戦争を一刻も早く止めさせるということに我々SHIELDSの活動の意義があると気付きました。その証拠にまだSHIELDSに犠牲者は出ていませんし、そうしたライフラインはまだバグダッド市内ではどこも爆撃されていません。
(正確に言うと先日変電所にブラックアウト爆弾といって人的被害なしに停電だけを起こす爆弾をおとされました。あとSHIELDSのいないコミュニケーションセンターは次々に破壊されています。)SHIELDSがいない南部のバスラではそうしたライフラインのいくつかがすでにやられているらしいことから、ここバグダッドにおけるSHIELDSは明らかに抑止力になっていると思います。昨日は近くで激しい地上戦があり、一度全ての荷物をまとめてホテルに避難させられましたが、ここに留まり守り続けていきたいという皆の強い意思でまたサイトに帰ってきました。もちろんただいるだけではまるで意味がないわけで、メディアを通じて我々がここにいてこんなことをしているということを伝えなければなりません。そのためにすでに数回、戦時下でのデモを企画実行して世界に発信。あとジャミーラさんと一緒にイラクのソリダリティー(SHIELDSの受入れ団体)に交渉して連日昼間はバスツアーを組んでもらい、爆撃の跡や救急病院を訪れて戦争被害の現状をつぶさに見てまわるなど、夜はサイトに寝泊りするものの昼間は戦時下のイラク国際市民調査団として活動。正直言って戦時下でここまでいろいろ見て回れるとは思ってもいませんでした。ここ数日は赤新月社、国境なき医師団、国際赤十字等を訪ね、バスラに薬を届けることが出来ないかきいてまわっていましが、やはりいまバスラに行くことはかなり危険だということでした。バグダッド市内のあちこちの病院でも必要な薬を聞いてまわりましたが、最良の薬は今すぐこの戦争を止めさせることだとも言われました。
もちろん連日昼夜を問わず空爆はあり、近くに落ちると理屈ぬきに怖いのですが、さすがにだんだん慣れてきて、いちいち気にしていたら身が持たないと言うイラク人の気持ちが少しずつわかってきます。市場のど真ん中に落ちた爆撃の被害の凄まじさや、クラスター爆弾にやられ病院でうめき苦しむ少年も見ました。やはり戦争で苦しむのは何の罪もない人々。市場で「これがアメリカのデモクラシーだ」と吐き捨てたおじさん。激痛に耐えながら搾り出すように「ブッシュはテロリストだ」と言った少年。こうした言葉が次から次へと日本での平和に麻痺した感覚を根こそぎ抉り出すように切り込んできます。その一方、大方の店は閉まっていても、街を歩けば皆相変らず気さくに挨拶をしてくれるし、サッカー等に興じる子供達の笑い声も絶えません。
前回感じた生と死のコントラストは一段と眩しさを増している。こんな戦時下でも外国人がいるということは、彼らにとって大きな心の支えになっているのは間違いないし、こんな非常時を共有しているという連帯感は名状しがたい幸福感に変わってきます。SHIELDSとしての存在意義だけではなく、この戦争の証人となり彼らと時を共有 したというだけでも、私は今回戦火の中イラクに再入国した甲斐があったと思っています。平和運動に真の魂を入れるために、戦争を身体で知ることは大きな意義があることだと確信しました。
もちろんこうした活動は大きなリスクを伴うもので、私を心配してくれる人々の気持ちを考えると本当に申し訳なく思います。でも信じてほしいのです。私は必ず無事で帰ってこなければならない。帰ってからやることが本当にたくさんあるし、帰ってからこそ今の経験が生かせるわけですから。とにかく今は一刻も早くこの戦争を止めさせるよう、このバグダッドから最大限の声をあげ続けます。平和憲法とヒロシマ、ナガサキの経験を持つ我々日本人は世界の平和活動の先頭に立つべきです。日本政府が何もしない以上、我々市民がやらなければという思いで私はこの最前線に立っているのです。
ちなみに今日ジャミーラさんと、これまで私と一緒にサイトに入っていた志葉君がバグダッドを出て日本に向かいました。さらに日本人のSHIELDSを募り18日頃までにはまたイラク入りする予定だそうです。
バグダッドから愛をこめて
YATCH 相澤恭行