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バグダッド攻略の不確実性
LEMONDE.FR|06.04.03|18h59
すべては計画に沿って準備されているように見える。バグダッド包囲作戦は達成されつつある。増援部隊がバグダッド空港に到着し、以後アメリカ第3歩兵師団にゆだねられる。戦略要路はその大部分が海兵隊に支配されている。イラクの権力機構は己の影に過ぎない。つまり、バグダッドの攻略が近づいているのであろう。けれども、数多くの不確実性がこの決戦には重くのしかかっている。
最初の不確実性は、バグダッドを落とす戦略に関するものである。今までは、地上戦なしに、アメリカの飛行機が街の戦略拠点を壊滅させてきた。2日前からのアメリカ地上軍のバグダッドへの進撃で、パイロットたちは「わが方の軍隊が地上にいるバグダッドへの爆撃はより難しくなるだろう」ことが分かった。ならばアメリカの戦略はどうなるのだろうか。バグダッド包囲網を徐々に狭めて行って震源地を押しつぶすのか、それとも今まで見られたように、首都の中央付近を目指して速攻突破を図るのか。何にせよ、アブラムズ戦車隊とアパッチ・ヘリコプターは再び行動を起こすはずである。しかし歩兵軍勢はどうするのか。
これは2番目の不確実性である。アメリカの参謀本部は、バスラ攻略のために、都市のゲリラ戦に関する英国コマンドの北アイルランド紛争の経験にかんがみて作戦を立てるよう、英国海兵隊に責務を負わせたと言われている。だがバグダッドに関しては、アメリカの海兵隊は、実際に街の周辺で、市街戦の労苦に慣れているのだろうか。
3番目の不確実性は、そして多分世界の世論にとってもっとも気がかりな点だが、首都での地上攻撃に際して、バグダッドの住民がどう反応するだろうかということである。彼らは恐怖に耐えて家に閉じこもるだろうか。あるいは米軍の進撃を阻止するために前線に出るだろうか。イラク政府はすべての市民に首都から出ることを禁じて、人間という賭け金を重要なものとしたのだ。
最後に、イラク政府の機能が働く余裕がまだどのくらいあるかが最後の不確実性である。イラクのテレビが放映した画像では、サダム・フセインの権力は崩壊のどんな兆候も示していない。ただし、徐々に効果が薄まりつつあるプロパガンダという松葉杖に支えられてである。イラクの情報相は、この48時間以来イラク軍がアメリカの襲撃を押し返したと常に言明することができるが、しかし外国の特派員たちのレポートは一様ではない。米英軍は毎日サダム・フセイン体制に残されたものを少しずつ齧りとっている。したがって、最終攻撃の際、首都に何が起こるのだろうか。政府の高官たちは国家元首のために死ぬまで戦うのか、米軍に降伏するのか、それとも彼らの首領に対して反乱を起こすのか。
http://www.lemonde.fr/article/0,5987,3462--315820-,00.html