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【ワシントン中島哲夫】イラク戦争で急進撃を続けた米軍が停滞に陥ったことで、30日にはラムズフェルド国防長官(70)が大規模兵力の投入を拒否したせいだという「疑惑」が急浮上し、長官は釈明に追われた。逆に「圧倒的な軍事力」による必勝理論で知られるパウエル国務長官(65)の株が上がり、両者の「ドクトリン競争」が関心を集めている。
パウエル長官は91年の湾岸戦争を統合参謀本部議長として指揮した。戦後、「戦争は最後の手段」「目的を限定し、圧倒的な兵力を投入する」などの原則を公表し、パウエル・ドクトリンとして有名になった。
一方、ラムズフェルド長官は若くしてフォード政権の国防長官を務めた政治エリート。昨年10月7日の記者会見では、パウエル・ドクトリンを「実際には(レーガン政権時代の国防長官が表明した)ワインバーガー・ドクトリン(の亜流)だ」と述べ、時代遅れだと事実上決め付けた。
また、同12月4日のアラブ圏メディアとの会見では「ラムズフェルド・ドクトリン」はブッシュ・ドクトリンそのものだと解釈できる発言をし、敵対国家やテロ組織への先制攻撃を容認する新ドクトリンの考案者だという自負を示した。
ブッシュ・ドクトリンの特徴の一つは、世界のどこへでも軍を迅速派遣し、ハイテク兵器で敵を撃滅するという「軽い、速い、新しい」志向だ。イラク戦争は同ドクトリンを初めて発動したケースであり、新路線を試してみたかったとしても無理はない。
ただ、実際にはフランクス中東軍司令官の要請を受け入れ、25万人を超える兵力をイラク周辺に展開させてから開戦に踏み切っており、新旧折衷型の作戦になった。
しかし、史上まれな快進撃は補給線が延び切って限界を示し、精密誘導兵器で猛爆撃してもフセイン政権は崩壊しない。作戦計画は長期化にも対応できる「旧」の部分を含んでいるため破たんを免れているが、「新」の方は失敗という印象だ。
ラムズフェルド長官は30日、ABCテレビの番組で、イラク南部バスラなどでシーア派イスラム教徒の政権離反が進まない理由について、湾岸戦争の際に蜂起したら「米軍が去ってしまった」ためにフセイン政権に虐殺された経緯を挙げた。
ドクトリン競争での形勢不利にいらだち、12年前にバグダッド進撃に反対したパウエル長官をあてこすった発言のようにも聞こえる。(毎日新聞)
[3月31日21時19分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030401-00000091-mai-int