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【アンマン小倉孝保】イラク戦争を闘う米国の政府高官がこのところ、イラクを支援しているとしてシリア、イランを名指しして批判、両国政府との対立が深まっている。イラク戦争で民間人の犠牲者がすでに300人を超えたとされる中、中東の住民の間で反米感情が急速に高まっていることを受け、比較的、言論統制の厳しい両国政府に「これ以上、国民の反米的態度を放置すれば、イラクの次の標的になる」と警告を発したとの見方が大勢だ。
米国のラムズフェルド国防長官は3月28日、記者会見で、イラク軍を支援するため、夜間戦闘用暗視ゴーグルなどの軍需物資がシリアからイラクに運ばれていると不満を表明。また、テヘランを拠点にするイスラム教シーア派のイラク反体制派「イラク・イスラム革命最高評議会」の軍事部隊数百人が越境し、イラク南部に入ることをイラン政府が許していると批判した。
パウエル長官はまた、30日の講演で、「イランは大量破壊兵器を保有したいという願望を捨て去るべきだ」「シリアはテロ支援を続けるのかどうかという危険な選択と直面している」と両国をけん制した。
シリア政府はすぐ、「指摘は根拠がない」との声明を発表、ハラジ・イラン外相も30日、疑惑を否定するとともに「イラクでフセイン政権が崩壊しても、米国によって作られたイラク政府は承認しない」と米政府を強くけん制した。
シリアからイラクへの軍需物資密輸と同最高評議会メンバーのイラク越境問題について、あるアラブ外交筋は「十分ありうる話。だが、米政府はこれまで、大目に見てきた」と指摘。その上で、今回の戦争でイスラム教徒の犠牲が続出し、各地で反米デモが激化していることを踏まえ、同筋は「反米感情の拡大が危険なレベルに達している。これ以上、反米的態度を取ることは許さないと中東全体にメッセージを出した」とみる。
シリア、イランは米国務省から「テロ支援国家」に指定されている。両国をはじめ中東各国は、米国が圧倒的な軍事力を背景に、「中東の民主化」を旗印に掲げて、親米化を図ろうとしているとの警戒心を抱く。アサド・シリア大統領は27日付けレバノン有力紙との会見で、「米英軍のやり方は、アラブ民衆の抵抗を引き起こしかねない」と武力行使を正当化する米国の姿勢を批判した。
アラブ有力紙「アルハヤト」のコメンテーターは今回の米政府からの批判に言及し、「米国のイラク攻撃の本当の狙いはイスラエルの安全保障だったと民衆は感じている」と指摘した。今後、中東諸国の政府は米国の圧力と国民感情のはざ間で難しい政局運営を迫られそうだ。
[毎日新聞3月31日] ( 2003-03-31-20:08 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030401k0000m030084000c.html