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【カイロ城島徹】湾岸戦争(91年)当時、多国籍軍として対イラク戦に参戦したエジプト軍の元参謀総長モハマド・アリ・ビラル氏(67)が30日、毎日新聞のインタビューに応じ、イラク戦争の現状を分析した。ビラル氏は米軍事作戦の誤算を指摘する一方で、住宅地への空爆は抗戦の意思をそぐための米軍戦術との見方を示した。
――戦況をどうみるか。
◆米国は湾岸戦争の経験から、イラク南部地域でシーア派の反政府勢力の蜂起を予想し、それに乗じてバスラなどの都市を攻略できると考えていた。ところが、予想外の抵抗を受ける展開となった。開戦7日目にようやくイラク最南端の港湾都市ウンムカスルを制圧した。大誤算といえる。
――首都攻略のシナリオはどうなるのか。
◆バグダッド進攻は慎重にならざるを得ない。湾岸戦争では制圧した先々で新たな基地を構えたが、今回はできない。クウェート国境からバグダッド南方の前線まで補給路が500キロもあり、資材や燃料の運搬が難しい。基地の設営は安全性を優先させるのが軍の鉄則だ。ここ数日間は地上部隊は動かさず、バグダッドなど都市部への空爆が主体となるだろう。
――イラク軍の戦力をどうみるか。
◆湾岸戦争でイラクは戦力を過信して痛い目にあった。今回は低い戦闘能力を自覚して地方での交戦を避け、都市防衛を主体にしている。経済制裁の影響で勢力低下が著しく、戦車は旧ソ連製の1500台程度。数種類あるミサイルも性能は極めて低い。生物・化学兵器も所持していないはずだ。
――米英軍の戦いで注視しているのは。
◆米軍は政府や軍施設以外も実は標的にしている。市場や住宅地の空爆は誤爆ではなく、徹底抗戦をさせないための「イラク国民へのメッセージ」として意図的に行っていると思う。またラムズフェルド米国防長官がイランとシリアをイラク領内に武装勢力を入れていると非難した。名指しされた両国は当然否定する。「あなたの国をどこも支援していない」とのメッセージを隣国から送らせ、イラクの孤立感を深めさようとしている。
――今後の展開は。
◆4月半ばまでに戦争が終わらないと、米国を取り巻く情勢は複雑になる。国際社会は再び国連に解決を委ねようと動き出すかもしれない。私自身の戦争体験も踏まえて言えば、戦争を始める前に掲げられる大義が本当のことはない。本音というのは政治家の背後に隠れているものだ。
◇ ◇ ◇
モハマド・アリ・ビラル氏 湾岸戦争では多国籍軍で参戦したエジプト軍のトップとして、サウジアラビアを防衛する「砂漠の盾」作戦とクウェート解放を目的とした「砂漠の嵐」作戦に加わった。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030401-00000036-mai-int