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【米空母キティホーク艦上(ペルシャ湾北部)=本間圭一】イラク空爆を続ける米海軍の戦闘機が、バグダッドに進攻する米地上部隊の支援のため、広範囲にわたる敵を1度に破壊できるクラスター(集束)爆弾の投下を加速させている。
同爆弾の投下は、米軍との地上戦に備えるイラク軍部隊に打撃を与える狙いがあるが、不発弾が発生する懸念などから、人権団体が使用に反発しており、民間人の犠牲者が今後増えれば、国際的な反響を呼ぶ可能性がある。
ペルシャ湾に展開する米空母キティホークのディック・コープス大佐は28日夜、記者会見し、同空母艦載機が同日、バグダッド南方で、イラクの地対地ミサイル施設などに対し、GPS(全地球測位システム)型のクラスター爆弾、JSOW4発を発射したことを明らかにした。同空母の戦闘機はほぼ連日、クラスター爆弾を投下、イラクの精鋭部隊・共和国防衛隊の戦車や対空砲などを集中的に破壊している模様だ。対イラク戦開戦以降、キティホークを含むペルシャ湾に展開する米空母3隻の艦載機が投下したクラスター爆弾の合計は、「数十個」(海軍筋)になると見られる。
クラスター爆弾から空中で放出される小型爆弾は高度や天候によって、広範囲に拡散する可能性があるほか、不発弾の割合が5%前後に上るため、民間人への犠牲が懸念されている。人権団体によると、1991年の湾岸戦争や、コソボ紛争や、2001年の対アフガン空爆でも、クラスター爆弾で民間人が犠牲となった。今回のイラク戦でも、フセイン政権は、南部バスラ近郊で米軍がCBU99を投下し、市民13人が死亡したとして、米国を批判している。
国際社会では、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで、クラスター爆弾の使用を禁止する案を検討している。クリントン元米大統領は99年、同爆弾の使用停止を求める発言を行ったが、実質的な規制には至らなかった。
今回のイラク戦で、米軍は、6発の小型爆弾を内包するGPS型のJSOWを使い、精密誘導型でなく247個の小型爆弾を内包するCBU99の投下は控える方針だが、戦局によっては、CBUの使用も増えることもありうる。
◆クラスター爆弾=本体に多数の小型爆弾(子弾)を内蔵し、落下途中に空中で子弾を拡散させる爆弾。1発の投下により地上の広い範囲を攻撃できる。
(2003/3/29/20:01 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030329it12.htm