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「テレビがアメリカに乗っ取られた」。バグダッドの市民たちは28日、朝日新聞の国際電話取材に語った。上空から「戦争が終わればイラクは自由だ」などと呼びかける宣伝ビラもまかれているという。誤爆による市民の犠牲が続く首都で、米軍のプロパガンダが強まっている。
バグダッド市の公務員サーディーさん(30)の話によると、国営放送の番組を流していたテレビの画面が突然切り替わり、英米系のアナウンサーが現れた。アラビア語で「戦争が終わればイラクは自由だ。自分たちで自由に政府を選べる」と訴えたという。
中学校で物理を教える教師のホッレイヤさん(42)も、25日に同じような体験をした。
国営放送の番組が中断し、「米軍はもうバグダッドに入った」「イスラム教シーア派がフセイン打倒に立ち上がった」と音声が流れてきた。いずれも事実ではなく、「頭にきて、テレビを消してしまった」とホッレイヤさん。
エンジニアのハイダルさん(47)は、テレビの周波数を微調整して外国の放送を見ようと試していた。画面に「連合軍より」と書かれた音声のない静止画像が映った。「攻撃はイラク国民を解放するためだ」などのメッセージが並んでいた。
ほかの市民によると、米軍の呼びかけは「我々は軍事施設のみを攻撃している」「イラクは将来幸せな国になる」というものも。ラジオにも時折、同じ内容の声が流れるという。
宣伝ビラは広い範囲にまかれている。中学校校長のガズワさん(30)はバグダッド市内の自宅が空爆で崩れ、市南部の実家に避難している。最近、近所の道ばたでビラを2枚拾った。
表に「あなたたちは政府をなくすべきだ」と書かれ、裏を見ると、フセイン大統領の顔にバツ印がついていた。
もう1枚には「米国人と一緒に、あなたたちのために新しい国をつくるべきだ」。米国人とアラブ人が握手する絵が裏に印刷されていた。
ガズワさんはその場で破り捨てた。近くで燃やしていた人も見た。「魚を釣るように、釣り針を私たちの家に投げ込まないで欲しい」と言う。
バグダッドの南にあるナジャフ県でホテルを経営するアブノールさん(48)は26日、米軍が流すラジオ放送の周波数を案内するビラを拾った。
同県にはシーア派の聖地がある。スンニ派主導のフセイン政権に、内心では反発している人も多いといわれる。だが、ここでも住民はビラを破り捨てている。
「こんなものに使う金があるなら、イラクの子どものために本の一冊でも買ってくれ。おれは最後まで戦う」。アブノールさんは強い口調で言った。
在日イラク人によると、独裁政権下で人々は「電話は当局に盗聴されている」と信じているが、空爆が激しくなり、英米への反感が強まっているという。
首都に住む主婦ワファーさん(40)が数日前に拾ったビラには「幸福な人生に向かいましょう」とあった。「湾岸戦争と比べられないくらいの空爆を受けているのに。今回のミサイルは強力で、防空壕(ごう)にいても死んでしまうかも知れない。早く怖い夢が終わってほしい」 (03/29 17:35)
http://www.asahi.com/international/update/0329/018.html