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【JMM】韓国・ジンバブエ-レポート
http://www.asyura.com/0304/war29/msg/411.html
投稿者 愚民党 日時 2003 年 3 月 29 日 01:51:02:

                            2003年3月28日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.211 Friday Edition
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                           http://jmm.cogen.co.jp/
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▼INDEX▼

■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第102回目
  「インシャラー」

■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第37回目
  「新しいオペレーション」

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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』                第102回目
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「インシャラー」

 幼い頃童話で読んだ「シンドバッドの冒険」で初めてバグダッドという地名を知っ
た。そこにはたくさんの商人たちや船乗りが登場し、華やかな町のイメージがあった。
しかし、最近毎日マスコミを騒がしているバグダッドは、華やいだ雰囲気どころか爆
撃で荒んでいる。

 イラク戦争が始まる数日前、あるテレビ番組で「人間の盾」に志願した韓国人たち
を追跡取材したドキュメンタリーが放送された。メンバーは、神父を始め童話作家、
人権運動家など様々な面々だった。彼らはヨルダンまで行って、そこから陸路でイラ
クに入ろうとしていた。しかし、戦争が切迫したため外国人を警戒しているという理
由で、結局観光ビザで入国することになった。

 その番組で初めて筆者は本来のバグダッドを見た感じがした。そこには、イラクの
子供たちが笑いながらカメラに付きまとい恥ずかしそうにしていた。大人も笑いなが
ら彼らを迎え入れていた。もちろん観光ガイド以外に政府の担当者が監視役として2
人もついていたが。そこには、戦争を感じさせるものは何もなかったが、彼らに戦争
になったらどうするのかを聞くと、彼らの答えは一様に「インシャラー(神の思し召
し)」と答えていた。

 ソウルにいてもそうである。海外のニュースを聞いているとまるで北朝鮮がすぐに
でも攻め込んで来そうな気がするけれど、ソウルの中にいる人たちにはそんな危機感
はない。かえってなぜ同胞と気軽に会えないのか、そして早く統一されないから韓国
は弱小国家でしかないんだと思っている。

 イラク戦争が始まった。そして様々なニュースが飛び交う。湾岸戦争の頃は「フセ
インはとんでもない悪者でそんな人は世界平和のためにやっつけないといけないから
戦争をしている」とだけ思っていた。だから湾岸戦争が終わった後もフセインが生き
ていて、そのままイラクの大統領を務めているのが不思議だった。

 韓国では湾岸戦争の時、同時通訳という職業が脚光を浴びた。韓国の放送局はCN
Nの放送を一日中流していたので、それを実時間で通訳をする同時通訳が脚光を浴び
たのだ。そして、イラク戦争でも同じように同時通訳者がCNN映像を見ながら通訳
している。

 しかし、今回の戦争ではネットを使ったブロッグ(BLOGS)が注目を浴びてい
る。一番アクセスの多いのは、韓国イラク反戦平和チームのユ・ウンハさんが運営し
ている「銀河(ウンハ)が流れる小屋」サイトである。彼女は人間の盾を志願し、現
在イラクにいる。彼女のサイトをみたネティズンたちは、反戦のための基金を集め始
めており、マスコミ以上の反響を呼んでいる。

 イラク戦争が終わったら、次の標的は北朝鮮になるのではないかとハラハラしなが
ら韓国人たちは戦争に反対している。戦争はなぜこんなに反対しても起きるのか、イ
ラク人がいうように韓国人も「インシャラー」とただ戦争が起きないことを願うのみ
である。もちろん、アラーの神ならず、万国の神々に。

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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学四年から高校一年まで、大阪在住。(大阪の北野高校に最
年少で入学、韓国へ転勤になった父親と共に帰国。いわゆる帰国子女組)日本語の修
士課程卒業。同時通訳からスタートして、放送コーディネーターや翻訳、トレンドに
ついてのレポートなどを発表。今は、韓国の女子大で、日本語の講師も務める。
著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860971/jmm04-22

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■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第37回目
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「新しいオペレーション」

 先日、友人の送別会がありました。イギリス系国際NGOの職員で、ジンバブエで
の活動を終えてイギリスに帰るのです。生粋のロンドンっ子の彼女に「ようやく、気
が狂いそうになるほどの晴天の国から、どんより曇った陰気な国に帰れるね」と話し
かけると、彼女は曖昧な微笑みを浮かべながら、
 「まあね、でも、ロンドンで少し骨休めしたら、また、気が狂いそうになるほど晴
  天が続くところに行くの。」
 「どこの国?」
 「国じゃないかもしれない。」
 「??」
 
 彼女のコクニーが聞き取りにくくて、意味をとらえ違えたのかなと思い、よく分か
らないまま、話を続けました。 
 「いつから行くの。」
 「すぐに行くかもしれないし、しばらく時間がかかるかもしれない。」
 「???」

 判じ物の答えは、イラクでした。
 彼女は、イギリスに戻り休暇に入りますが、戦争が終結した段階でイラク(そのと
きはイラクではないかもしれないが)に渡り、荒廃した国土復興のための活動に従事
する事になるとのこと。

 すると近くにいたWFPの職員が、「それなら、また会えるかもしれないね。WF
Pでもイラクのオペレーション準備をしていて、僕も行くかもしれない」。「うちも
そうだよ」とアメリカ系の国際NGOの友人も入ってきます。また、みんなイラクで
会えるな、と変な盛り上がりとなりました。

 不思議なことに、今回は、皆、湾岸戦争やアフガニスタンの時ほどの恐怖感を持っ
ていないのです。戦争にこそ行きませんが、ここに集まっているうちの何人かは、確
実に終戦直後のイラクに渡り、そこで生活しながら援助活動を行うのですが、なんと
なく危機感が感じられません。

 アフガニスタンの時は、現地での生活について、皆、非常に関心を抱いていました。
水は、食糧は、医療品は、住む場所は……。大体、最低半年はそこで生活し、援助活
動をするわけですから、日本から海外赴任する時のように、いろいろなことが気にな
ります。基本的に自然条件の厳しい環境のところに行くわけですから、自分を守らな
ければなりませんし、その上で肉体的・精神的に厳しい状況に追い込まれるのは必至
ですから、タフでこうした状況に慣れている者が多いとはいえ、また、慣れているか
らこそ、事前に打てる手は出来る限り打っておきます。

 ですから、アフガン戦争の際は、戦争が始まった直後から情報収集に動いていまし
た。いずれかの時点で戦争は終わり、復興のための長い道のりが始まるのですから、
オペレーションを速やかに立ち上げ、少しでも早く、効率よくアシストを実施しなけ
ればならないからです。

 現在、イラクでは、すでに赤新月社(Red Crescent、赤十字社のイス
ラム圏での名称。十字架のシンボルはイスラム圏では使えないのでこの名称を使う。
シンボル・マークも、赤い十字架ではなく、赤い新月を使っている)の人道援助が開
始されています。しかし、3月25日現在では、まだ、ごく一部での、一般的な難民
支援タイプの食糧・飲料水の供給に限定されている模様です。

 今後、戦線が拡大した場合には状況はかわるでしょうし、当事者でないと推し量れ
ない気持ちというのもあり、私の周囲の人間という限られた範囲だけを見ている感想
ですが、なんとなく、現実感に欠けている気がします。

 餓死する人や、1USドルで手に入る薬が買えず死んでいく人たちを見過ぎたせい
なのか、それとも、今回の戦争がゲームや映画が始まるように、予想されたように、
そして、あっけなく始まったせいなのかよくわかりません。

 パーティーの終わりに、ある友人から「次は、北朝鮮だね。そのときは、きっとヒ
ロシにも会えるよね。待っているよ」とても爽やかな笑顔で言われ、しばし呆然とし
ました。私にとってのアフガニスタン・イラクも、直接の当事者から見れば、良くも
悪くも、彼にとっての北朝鮮と同じように見えるかもしれません。

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秋山寛
早稲田大学卒。東京で情報通信・金融関係での勤務を経て、現在は、主として金融面
からアフリカ開発をサポートする業務のため南部アフリカのジンバブエ共和国ハラレ
在住。
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JMM [Japan Mail Media]                  No.211 Friday Edition
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                   melma! : 15,658部
                   発行部数:115,440部(3月24日現在)

【WEB】    http://jmm.cogen.co.jp/
【MAIL】 jmm-info@cogen.co.jp
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【発行】 有限会社 向現(FAX 03-3247-4208)
【編集】 村上龍
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