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【ワシントン=大内佐紀】米政府は、対イラク戦争によりアラブ世界で反米感情が高まるのをおさえようと、イメージアップ作戦を強化している。しかし、アラブ諸国のメディアがイラク市民への被害を重点的に報道する中、どこまで功を奏するか疑問視する声もある。
パウエル米国務長官は26日、下院歳出委員会の公聴会で、軍事作戦と中東和平の停滞により反米感情が高まっていると分析、「国際世論を変えなければならない。アラブ諸国のメディア・市民に語りかける必要がある」と強調した。
同長官、アーミテージ副長官ら国務省幹部はここ数日、アラブ系メディアと相次いで会見し、「米国はフセイン政権の敵ではあるが、イラク市民の味方だ」と繰り返している。
バウチャー報道官は27日、「アラブ報道機関の多くが、扇情的な報道に走っている」との不満を表明した。バグダッドの住宅街で26日、民間人が少なくとも15人死亡した事件で、アラブ諸国の報道機関は「米軍の誤爆」と断定しているが、「イラク軍の砲弾などが原因の可能性もある」と指摘した。
米政府は、2001年の米同時テロ事件直後からイメージアップの必要性を痛感。大手広告代理店重役だったシャーロット・ビアーズさんを国務次官に迎え、専属チームを発足させた。「共通の価値観プロジェクト」と題し、これまでに、米国の援助がいかにアラブ社会の生活向上に役立っているかをPR、米政府の中東政策をアラビア語、ウルドゥー語で説明するホームページを作成するなど1500万ドルを投じた。
しかし、もくろみとは裏腹に、米国の世論調査会社ピューが昨年末、世界44か国の3万8000人を対象に実施した世論調査で、米国の「対テロ戦争」を「支持できない」とした人は、ヨルダンで71%、エジプトで66%、トルコでは74%に上った。
ブルッキングス研究所の中東専門家ピート・シンガー氏は、「米国が、イスラム世界で傲慢かつ無関心と見られるのは、そもそも政権の中東政策に問題があるからだ。中東和平政策に本腰で取り組むなど具体的な動きがなければ、いくらPRを弄しても効果には限りがある」と指摘する。
ビアーズ次官は2月末に辞任。米政府は、湾岸戦争時の国務省報道官で、父ブッシュ時代の広報のプロ、マーガレット・タトワイラー・モロッコ大使を後任に充て、PR戦略のたて直しを図りたい意向だ。
(2003/3/28/21:14 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030328i112.htm