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砂嵐 時期早く猛烈しかも長期
イラク戦争で中東特有の「砂嵐」が、米英軍に予想以上の脅威となって吹き荒れている。例年より早く、そして激しいといわれる砂嵐はイラクにとって“アラーの神風”となるのか。米英の軍事戦略を狂わしている砂嵐の猛威を、地元の気象専門家の分析を交えて検証した。(カイロ・久原 穏)
「これほどの砂嵐は一九九九年以来、見たことがない。視界はゼロに近い。今年はクウェートやイラク南部で雨が少なかったせいだ」
クウェート気象庁のアイサ・ラマダン専門官は二十五、二十六日にイラク一帯を襲った砂嵐のすごさを観測史上まれだ、と表現した。
同専門官によれば、イラク南部やクウェートでは砂嵐の季節は例年四、五月から八月にかけてで、通常は風速が七メートルを超えると起きる。しかし、今年は時期的に早いうえ、風速が二メートル弱でも発生したという。雨量が少なく乾燥していたのが原因とみており、「通常なら最大三日間で収まるが、今年は予測できない」と話す。
同じく「異常気象だ」と指摘するのはエジプト天気センターの予報専門官だ。「気温が二十五、二十六の両日、三五−四〇度にも達し、異常な高温だった。砂嵐は地中海で発生した低気圧の影響でアルジェリア方面からエジプト、イラク南部に向けて起きるが、今回は砂嵐後の大雨など異常続き。連日の大規模な空爆などで気圧の変化が生じた可能性があるかもしれない」と推測する。
砂嵐の猛威は、視界が百メートル以下になり、ヘリコプターの離着陸はほぼ不可能になる。風速二十メートルの強風が吹いた二十六日は日中も薄暗くなった。
砂漠の専門部隊を育成し、砂嵐の向こう側をも見渡せる最新の暗視技術を備えたともいわれた米軍。しかし、十年以上かけて能力向上を図ったハイテク技術をもってしても苦戦を免れない。「砂嵐はイラク軍の視界も遮る。化学戦用防護服で高温となるわれわれにとって冷却をもたらしてくれる」といった強気のコメントは聞こえてこない。
カイロにある中東地域気象センターのワヒイド・サウジ所長は「米英軍は衛星観測など砂嵐の発生予測は可能。これほど苦戦するのは、砂嵐を甘くみていたのではないか」と厳しい見方を示す。一週間周期で起きるといわれる砂嵐は、「神風」として戦況を大きく左右するかもしれない。
■ルポ 兵士の神経すり減らす 全身、食べ物も砂にまみれて
怪物のように米英軍を襲ってきた砂嵐で、兵士は悲惨な状況となり、神経質になっている。
ヘリコプター部隊の兵士が低木をイラク軍の車両と取り違え、「戦車が接近してきます」と上官に報告した。「茂みではないか」とヘリの操縦士。少し間を置き、兵士が恥ずかしげに「茂みでした」と答えた。
ここ数十年で最悪の砂嵐が二十五日から吹き荒れている。風速は二十二メートル。バグダッドを目指す第三歩兵師団の数千人の兵士は目的地を前に、足止めを食ってしまった。
視界はほぼゼロ。精鋭の一〇一空てい部隊のリニングトン大佐は「地上に留め置かれては、われわれが得意の降下攻撃はできない」とあきらめ顔。砂嵐がやむのを待つしかない。
砂との戦いは厄介だ。顔に密着したはずの砂漠用のゴーグルからも砂が入ってくる。目、耳、鼻は砂だらけだ。食べ物は砂まみれ。もちろん口もだ。首からつま先まですっぽりと覆う防護服は日中三七度にも上がる。
歩兵戦闘車ブラッドリーでは砂が油にまみれ、兵器に積もっている。兵士が歯ブラシでこすり落とすが、「どれだけ砂を落とせるやら」と兵士は困惑気味だ。
さらに悪いことに、二十五日夜、突然、雨に変わった。砂は泥となり、シロップのように兵士や装備にベットリ。(イラク中部で、AP)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030328/mng_____kakushin000.shtml