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米国のベーカー駐日大使は27日、都内の米大使館で毎日新聞と会見し、イラク戦争後の復興問題に関し、米国が日本に具体的な要請を行う意思はなく、「同盟国として日本が自発的に支援計画を示すことに期待する」と述べ、積極的な貢献に強い期待感を表明した。また、核開発計画を持つ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への対応では、日韓などとの協議なしに先制攻撃を行うことは決してない、と断言した。
イラク戦争の開始後、ベーカー大使が日本の新聞と会見するのは初めて。大使は「米国は(戦後に)長く責任を持つことを望まない」と語り、戦後復興への多くの国の参加を望んだ。中でも、日本は「各地の復興支援で高い評価を得ている」とし、国連決議がない場合でも「全面的な参加」に期待すると語った。
イラク復興の目的で自衛隊を派遣することに関しては「日本が考えること」だとし、「派遣を勧めたり、提案する考えはない」と明言した。また、国連新決議なしのイラク戦争に国際社会の批判が強いことを認めた上で、戦争はイラク国民の独裁体制からの解放が目的であり、「時がたてば米国は感謝されるだろう」と述べた。
北朝鮮問題では、日本を含む周辺国との多国間協議など、あくまで外交努力での解決を目指す方針を確認。「米国は同盟国、友好国と協議してから行動する。単独で行動する可能性は事実上0%だ」と言いきり、単独の「先制攻撃」論が北朝鮮には適用されない、との姿勢を鮮明にした。
弾道ミサイルの発射実験が近いとの報道に関しては、「いつでも可能だが、差し迫っているとの兆候はない」と否定した。
◇政府に対する最大限の「期待」と「配慮」
日本が過去の紛争の復興支援で果たした役割を高く評価することで、イラクの戦後復興に積極的にかかわることを日本政府に暗に求める。だが、決して露骨な「要求」はせず、あくまで「日本の自主的判断」を強調する――。イラクの戦後復興支援をめぐるベーカー米駐日大使の発言は、日本政府に対する最大限の「期待」と「配慮」であったと言えるだろう。
世界第2の経済力を持つ同盟国に、米政府が強い期待を抱くのは当然とも言えるが、自衛隊派遣や復興への資金拠出を要求すれば、米政府は「ごう慢」「単独行動主義」との批判を受け、要求を受け入れた日本政府は「対米追従」の批判を国内外から浴びる。
こうした事態をマイナスと考えた日米の外交関係者が編み出したのが、「あうんの呼吸」(外務省幹部)と呼ばれる日米関係だ。米側は強い期待感を示すが、要求はしない。そして「日本の判断」を強調して、あくまで日本は自主的に米国の要求に応えるという仕組みだ。大使の発言は、こうした日米関係の象徴とも言え、日本政府にも歓迎されるだろう。
問題は、日本の独立性が強調されればされるほど、日本政府には当然、外交政策について国民に説明する責任が生じるにもかかわらず、日本政府当局者にその自覚がほとんどないことだ。
ブッシュ米大統領がイラクに「最後通告」を行った17日夜(日本時間18日午前)。大統領演説の1時間前の記者会見で、「戦争回避のためにフセイン大統領は亡命すべきか」と問われた川口順子外相は「ブッシュ大統領の演説を聞いてからでないと答えられない」と繰り返し、記者団の失笑を買った。案の定、外相は大統領演説以降は国会答弁などで公然と「フセイン亡命」を求める発言を重ねた。その姿勢には、「日本の自主性」に対する自覚は見られない。
大使の言葉を待つまでもなく、イラク復興をめぐって、日本は再び「自主性」を問われる。【白戸圭一】
[毎日新聞3月27日] ( 2003-03-27-22:32 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030328k0000m030108002c.html