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月刊 軍事研究 4月号より未知数の多い市街戦の帰趨
巻頭言……帝京大学教授/元北部方面総監 陸将 志方 俊之
略……米英軍を基幹とする連合軍は、後に砂嵐の中で苦しい戦闘を強要される事になる。
双方の戦力を比較すれば、イラクには勝ち目こそないが、戦争を長引かせて米英に戦争を中途で投げださるようにする戦略だけは残されている。余りに多くの民間人が戦闘の狭間で犠牲になれば、国際社会は手をこまねいていないだろう。また、連合軍側にあまりにも多くの戦死者が出れば、連合国側に厭戦気分が蔓延し、ブッシュ政権やブレア政権も何らかの決断をせざるをえないだろう。
戦闘の帰趨はOR(運用解析)計算通りにならないのが常だ。
略……湾岸戦争ではイラク軍側に大量降伏があった……略……市街戦の主役、精鋭といわれる「共和国親衛隊」にも「大量降伏」が起こるのか。
略……米軍の市街戦戦闘能力だ。米軍は訓練の重点を市街戦に置いて実践的な訓練をしてきた。近接戦闘を支援するハイテクの個人装具 (ランドウォリアーシステム)も開発してきた。武装ヘリと地上部隊との密接な連携要領についても特訓を重ねてきた。これらの準備は、勝手知った墳墓の地で最後の抵抗を試みるイラクの共和国親衛隊と渡り合って果たして功を奏するのか。
一九九三年のソマリア作戦の時、モガディシオの市街戦でアイディード派の民兵がビルの谷間から低空で飛ぶブラックホークを対戦車擲弾で狙い撃ちして撃墜した。
この救出戦闘で十八名の米兵が戦死し、その死体にロープをかけ市中引き回しをした現地の残忍な映像が米国内の茶の間のTVで放映されるや厭戦気分が蔓延し米軍は全面撤収してしまった。米軍にとて、これは「モガジシオの悪夢」ともいえるべきものだた。今回、フセイン大統領は、地元のバクダット同じ悪夢を再現させようと考えているのは疑いない。
米軍は、同じ悪夢を二度と起こさないためにあらゆる努力をしてきたに違いない。
昼間は各兵士が街の細い地図を頭に叩き込む一方で、イラク兵を眠らせないための擾乱射撃を行い、暗視装置を駆使して夜間に戦うのではないだろうか。夜戦に適したハイテク個人装具や市街戦用索敵器材(無人偵察飛行体、窓から室内を確認する)の開発、地上部隊相互の連携要領や空地連携要領など、新しい戦い方を創出する「戦闘開発」を行ったと思われる。市街地に潜入して、情報収集する「潜入作戦」、輸送機やヘリ空輸を連接しながら行う「飛び石作戦」、クウェートからバクダットまでの「ローラー作戦」、ミサイルを搭載した無人偵察機を使った効率的は、「掃討作戦」、これらが組み合わせて新しい「作戦教義」を開発したに違いない。戦闘要領には未知数が多い。バクダッドでは全く新しい戦いが行われる。