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イラク戦争は第二のベトナム戦争になるか
2003年03月25日
イラク戦争はアメリカ軍による攻撃が大成功し、アメリカ軍は破竹の勢いで北上しているように見えるが、将来この戦争はすこぶる危険なものになるのではないか。気がつくとアメリカ軍は四方からイラク軍とゲリラに囲まれているという、かつての日本軍の中国侵攻や、ベトナム戦争でのアメリカ軍の置かれていた情況に似た事態が発生する可能性がある。
イギリス軍はバスラから撤退したが、イギリス軍は撤退する理由を戦術の建て直しと、サッダームフセイン大統領支持がシーア派の間でも強いことにある、といっている。このイギリス軍の情況認識は根本的に間違いだ。
シーア派のイラク国民はサッダームフセイン大統領を支持して抵抗しているのではなく、あくまでも自分たちの土地に攻め入ってくる敵から土地と家、家族を守るために戦っているのだ。イラク人の誰もアメリカやイギリスが民主的な国家を作ってくれると信じている者はいない。アメリカ、イギリスがそう本気で思っているのであれば実に馬鹿げている。
それほど危険な状況にあるにもかかわらず、アメリカは今なお戦争を甘く見ているようだ。戦争には過去にも現在も将来にも人道的な戦争とか民主化のための戦争など無いのだ。ロシアも欧州もアメリカの暴挙を半分喜んでいるのではないか。それがアメリカの終焉に繋がるからだ。
この甘い判断がもとで戦争はアメリカ軍にとって苦しいものとなり、結果的にアメリカはとんでもない兵器を使い、イラク人を大量に殺すことになるのではないか。核やモアブ(核兵器並みの破壊力を持つ気化爆弾)のような兵器もその段階では使われる可能性がある。
イラクのサッダームフセイン大統領が化学兵器の使用を指示した、というアメリカの発表はそれを前提にしたものであり、事実では無いと思われる。なぜならば、今回の戦争でサダムが化学兵器を使うことは、アメリカにイラク攻撃の正当性を与え、世界を敵に回す口実を与えることになるからだ。
唯一の超大国であり、国連安保理の存在を無視してイラク戦争を始めたアメリカは、止め役の無いままサッダームフセイン大統領殺しを試みようが、そう簡単ではあるまい。またサッダームフセイン大統領を殺すことが出来ても、それでイラクが民主化することは考えられない。たとえサッダームフセイン大統領が殺され、サッダームフセイン大統領体制が崩壊した後でも、イラク国民はアメリカ軍を敵としてアメリカに対する戦闘を継続する危険さをこの戦争はもっているのだ。
「もしイラク戦争が1ヶ月以上続けば、ヨルダンの王家は打倒される危険性がある、」とニューズ・ウイークの中で元ICA工作員のロバート・ベア−は語っている。ヨルダンのパレスチナ人がサッダームフセイン大統領支持で具体的な行動に出て、ヨルダンが混乱するようなことになれば、それはアラブ各国に飛び火することになろう。
その危険な兆候はエジプトのデモで既に現れている。エジプトのデモでは「アラブ軍、エジプト軍は何処へ行ったのか」とエジプト軍アラブ軍のイラク戦争への参戦を要求するシュプレヒコールがこだましているのだ。加えてイラクから避難するシリア人のバスに、アメリカ軍が攻撃を加え多数の犠牲者が出たことも、イラク戦争をイラク対アメリカではなく、アラブ対アメリカ、あるいはイスラム教対キリスト教の戦争に様相を変えるエネルギーとして作用しているのだ。
エジプトのアズハル大学学長(シェイク・ル・アズハル)が既にジハード宣言を出したが、これは今後じわじわと世界のイスラム教徒の間に広がり、ついには爆発する時が来よう。イラクで戦っているのはキリスト教徒であり、殺されている、攻撃されているのはアラブ人であり、イスラム教徒だということが、世界中のイスラム教徒に知られているのだ。
イラク戦争が内包する本当の危険さに日本はまだ気がついていない。イラク戦争がもたらした危険は、イラクやアラブ地域ではなく、イスラム世界全体であり、欧米をも含む段階に入りつつあるのだ。そのとてつもなく危険な要素を内包するイラク戦争で、世界のいずれの国にも先駆けて「アメリカを支持した」のが日本であることを忘れてはなるまい。
あるアラブに駐在する日本企業の所長で、日本人会会長を務める人物が、その危険性を大使館側に指摘したところ、鼻でせせら笑われたということだ。誰が愚かなのか、誰が危険を察知出来ないでいるのか。もう一度よく考える必要がある。
東京財団
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