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先走るアメリカの軍功と現実
アブ・ハバル
2003年03月25日
3月20日の開戦まもなく、アメリカ軍はイラク最大の港町バスラを陥落させたと大喜びだった。そこでは抵抗らしい抵抗もイラク側からは無く、イラクの正規兵もそれほど抵抗を示さなかったという報道が、カタールに設置されたアメリカ作戦軍本部によって誇らしげになされていた。
この報道とアメリカ軍の発表を前に、多くの日本人は戦争がアメリカの一方的な勝利で早期に終了するのではないかと考えたのでは無いか。
しかし、現実はこうした日本人の想像、予測とは大分異なってきているようだ。アメリカ軍とともに戦うイギリスの第七機甲旅団は、イラク側の抵抗がことのほか強硬であることから、戦陣の建て直しを理由にバスラから撤退することを決定した。
このイギリスの決定にはいくつかの理由が考えられる。イギリスの発表どおりの抵抗に対する戦術の練り直しもそうであろう。しかし、それよりももっと重要な理由は、イギリス機がアメリカの発射したパトリオット・ミサイルによって撃墜されたという事実にあるのでは無いのか。
イギリスは、アメリカのゾウの親切に付き合っていたのでは危険だ、と考え始めたのでは無いか。加えて、バスラではアメリカとイギリスの攻撃によって電力と水の供給に問題が発生している。そのことは、バスラの一般住民にとって大きな問題であることは当然だが、バスラの病院に入院している患者には命がかかっている緊急の問題であろう。
アメリカは人道的な戦いをすると公言してきたが、ここに来てそのような贅沢な戦争は相当な困難を伴うことに気が付き始めているのでは無いか。欧米のマスコミでは「アメリカはベトナム戦争から何も学んでいない」という批判が出始めている。
バスラの病院が電力と水の不足から、入院患者の中に死者が多発するようなことになれば、アメリカはどう責任をとるのだろうか。戦争が長期化の傾向を見せる中で、イギリスはアフガニスタンで取ったような早期の責任逃避を考え始めているのかもしれない。その時、取り残されるのは空爆を中心とするアメリカとイギリスによる攻撃で破壊されたイラクに生きる一般国民だ。
東京財団
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