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【アンマン=久保健一】米英軍による進撃で首都攻防戦が秒読みに入り、バグダッド市民は緊張感を極度に強めている。バグダッドから24日、アンマンに脱出したヨルダン人記者サアド・ハッタール氏(41)が緊迫する市内の表情を本紙に語った。
イラク正規軍や精鋭部隊の共和国防衛隊は、市中心部から半径約40キロのラインに配置についている。塹壕(ざんごう)が幾重にも掘られ、対空砲、機関銃が配備された防衛線だ。米英軍をかく乱のため、塹壕に石油を注ぎ、火を放っているため、黒煙が上空を覆い、昼でもうす暗い状態が続いている。
市内の各所には、荷台に機関銃を据え付けたトラックに乗った支配政党・バース党員や部族から集められた民兵が警備につき、自動小銃を片手に数十人規模の小隊単位で目を光らせている。バース党主導の官製デモも頻繁に行われ、徹底抗戦に向け、市民の士気を鼓舞している。
民兵の1人は「大統領のためではなく、祖国を守るために戦うのだ」と語気を強めた。市民の間では、反米、反英感情に加え、対米追従を進めるヨルダンに対する敵意も増幅しており、ハッタール記者も自分がヨルダン人だと名乗れない雰囲気だったという。
ハッタール記者によると、市民も自衛に懸命という。バグダッド市東部に住む会社員アブドルワハーブ・カイシさん(41)は、中学生の息子のために、拳銃を購入しようとしたが、価格が3週間前の3倍の150ドル(1万8000円)に跳ね上がっており、断念した。
カイシさんは、空爆開始以来、「いつでも逃げられるように」、妻と子供2人と一緒に1階の居間の床にマットを敷いて寝起きしている。爆風による被害を防ぐため、家具を壁に固定し、ガラス食器はすでに納戸にしまった。食料品店に並ぶ商品はごくわずかになり、今後は、備蓄食料が頼りだ。
娘のアビールさん(19)が通う大学は、学生の半数が地方に疎開してしまったため、19日を最後に休校になったままだ。
イラクのテレビ局は、フセイン大統領を礼賛する記録映像などを流し続けるだけで詳しい戦況の報道はない。一家の頼りは小型ラジオで、英BBCアラビア語放送など外国メディアから情報を得るのがやっとだ。
(2003/3/26/03:05 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030326id01.htm