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”私と読者の約束事は、私が読者に物事の現実の姿をありのままに語って聞かせることで、
だから、私がこれはこうなんだと書けば、それが真実なのだ”
これは、トム・クランシーがある雑誌に寄稿した文章の中の一節で、『レインボー・シックス』の
解説の中でも引用した言葉なのだが、クランシーのこの言葉に恐ろしいほどのリアリティをもた
らしたのが、さきに起こった、あの全世界を震撼させた、2001年9月11日の米・同時多発テロ
事件であった。
偶然、リアルタイムで2機目のアメリカン航空ボーイング767旅客機が、ニューヨーク世界貿易
センター・ビルのサウスタワーに激突する瞬間をTV画面で見たとき、信じられない現実に起こった
光景を呆然と凝視する中で、僕の頭の中を爆発的にフラッシュしたのは、クランシーの『日米開戦』
のラスト・シーンであった。『日米開戦』を読んだ人なら決して忘れることのないシーンであろう。
事実、僕の脳裏から読後ずっと離れることのない、数年たった今日もなおあたかも悪夢の如く
突如記憶に甦る凄絶なシーンが、日航のボーイング747ジャンボ・ジュット機がジュット燃料を満載
してワシントン・DCのアメリカ国会議事堂に神風攻撃を敢行したシーンであった。
この神風攻撃によって、アメリカ合衆国は大統領をはじめ政府閣僚、上・下院国会議員、最高裁
判事、さらには統合参謀本部のメンバーのほとんど全員を一瞬にして失った、まさに続編のタイトル
ともなった『合衆国崩壊』となった訳である。
このことによって副大統領であった、われらがヒーロー、ジャック・ライアンがアメリカ大統領になった
ことが頭をもたげてきた。たとえジャンボ・ジュット機とはいえ、一機の旅客機が突っこんだだけでこれ
だけのダメージを与えられるものなのか?
しかし、すぐに真剣に考えるが可笑しくなったのは、これはフィクションだから、クランシーも誇張して
書いたのだろうという思いからだった。が、現実に眼前で激しく黒幕を吐きながら崩落して行った二つ
のタワーの地獄の光景を目の当りにして、僕の頭の中には、冒頭に紹介した”僕の書くことは真実な
のだ”というクランシーの言葉が雷鳴の如く轟いたのだった。
児玉 清 【トム・クランシー「大戦勃発」/解説 2002年4月発行 新潮文庫 新潮社】
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●トム・クランシーは一貫としてレーガン保守の信奉者である。
彼は911からアフガニスタン占領そしてイラク占領への戦争計画ストーリ作りに
ネオコン・国防総省グループの一員として参画していると自分は推測している。
彼の小説世界とアメリカ帝国軍の戦術がリンクしているのは偶然という
見えない神の手のなせる技巧であろうか?
最終小説の誘惑とは帝国への参画である。これを悪魔の誘惑という・・・・
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