現在地 HOME > 掲示板 > 戦争28 > 203.html ★阿修羅♪ |
|
――あえて言う。「米国のイラク攻撃は歴史的大愚行である。 小泉政権の米国追従は日本の未来を危うくする」と
「戦争というものは、老若男女を嬲(なぶり)殺しにするものだということがよく分りました」(井伏鱒二)
--------------------------------------------------------------------------------
井伏鱒二は広島県出身の作家(1898〜1993)。『黒い雨』は広島に落とされた原子爆弾がつつましい人間の生活に傷を負わせた次第を綴った井伏の代表作の一つ。冒頭の言葉は主人公の妻シゲ子の手記の中にある。
同小説の中で主人公は叫ぶ――「戦争はいやだ。勝敗はどちらでもいい。早く済みさえすればいい。いわゆる正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい」
第二次大戦の悲惨を少しでも体験した者は、よほどの変人でないかぎり、井伏鱒二のこの小説の主人公と同じ気持ちを持っている。ところが、このような平和主義者の心情をせせら笑うような不真面目な風潮がある。政界、官界、マスコミの中にとくに強い。私はこの風潮の蔓延に強い危機感を抱いている。日本国民はかつての轍を繰り返すのだろうか。そうだとすればあまりにも愚かである。
第二次世界大戦末期の1945年8月、米軍は広島と長崎に原子爆弾を落とした。その瞬間、数十万人の命が奪われた。人類史上最大の大惨事である。同年3月10日には米軍は東京を爆撃した。死者約10万人。第二次大戦の間、310万人の日本人が死んだ。第二次大戦を少しでも体験した者にとっては忘れられぬ悪夢である。
もちろん日本は単なる被害者ではない。日本軍国主義はアジア諸国民に対し多大の被害を与えた。このことは忘れてはいけないことである。
最新の近代兵器で武装された米軍の前ではイラクは敵ではない。米軍の勝利は固いだろう。米軍の猛烈な軍事攻勢のために生命を奪われるのはイラク軍人ばかりではない。数多くの市民、老若男女の生命が奪われるだろう。しかし、ブッシュ政権は容赦なく勝つまで攻撃を続ける。
この米軍のイラク攻撃を小泉政権は全面的に支持している。ブッシュ政権に忠実すぎるほど忠実で従順な小泉政権を国民の約40%が支持している。私はこのことに強い危機感を抱いている。
第二次大戦が終わって58年が経つ。第二次大戦の体験者は全人口の10%程度になってしまっている。戦争体験者のうち、戦争を嫌わない者もいるだろうが、それはごく少数のはずだ。圧倒的多数が戦争を嫌悪している。しかし、戦争未体験世代の中には戦争肯定論者が少なくない。古い世代の歴史体験が次世代に引き継がれるのはむずかしいことなのであろうか。
古代ギリシアの抒情詩人ピンダロスの詩(「舞踏歌」)の中に、「戦争はその体験なき人々には甘美である。だが体験した者は、戦争が近づくと心底大いに恐れるのだ」という一節がある。
戦争未体験世代の男性が性懲りもなく戦争に突っ走る。その世代の政治家が戦争を煽る。人類は、愚かな戦争→大悲劇→反省→平和→忘却 →傲慢→戦争→大悲劇の歴史をこれからも繰り返しつづけるのだろうか。人類の将来が心配になる。
せめて、平和を望みながら沈黙を守ることだけはしないようにしたい。「戦争屋」とは戦わなければならぬ。