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【ワシントン藤原章生】米英軍によるイラク侵攻は20日の開戦直後から米英兵の死者や行方不明者が相次ぎ、米国内に動揺が起き始めた。一部米テレビ局は23日、イラク軍の捕虜となった米兵の緊張した表情を流し、ホワイトハウスの記者会見ではブッシュ大統領が映像を見たかどうかに質問が集中した。軍事関係者からは「作戦初期段階での地上戦突入方法に問題があったのでは」との声も上がり始めた。米政権はある程度の米兵の犠牲はやむを得ないとの立場を堅持しているが、今後、作戦計画に影響が出る可能性もある。
イラク戦争での米軍の死者は21日にイラク南部で海兵隊員2人が戦死したのをはじめ、23日には南部ナシリヤの戦闘で、9人が死亡、この戦闘やヘリコプターの墜落などで計16人が行方不明となっている。
カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」が23日の戦闘で死亡したとみられる米兵4人の遺体と捕虜5人の映像を放映した。テレビの生放送出演中に映像を見たラムズフェルド国防長官は「捕虜映像の公開はジュネーブ条約違反だ」と怒りを露にした。
動揺を鎮めるためか、軍人出身のパウウェル国務長官は24日、FOXテレビに出演。「これはビデオゲームじゃない。本当の戦争なんだ」と語気を強めた。長官は地上部隊本隊が24日にバグダッド南方80キロに達した成果を踏まえ「今のところ犠牲者は大した数ではない」と繰り返した。
だが、最高司令官でもあるブッシュ大統領自身、米兵の戦死、拘束にかなりのショックを受けたとの見方が強い。ある米軍関係者が毎日新聞に語ったところによると、フランクス米中東軍司令官は23日、イラク南部バスラへの侵攻を一時停止する命令を下したの情報がある。フセイン政権に批判的な住民が多いとされたバスラは、イラク軍の布陣が弱く「24日にも陥落」というのが大方の見方だった。だが米時間で25日未明、その兆候はない。
バスラ攻略の一時停止は、米兵の戦死や捕虜映像を目にしたブッシュ大統領の指令だったと米軍関係者は明かす。イラク側のゲリラ的な戦法を前に、さらなる戦死を懸念したのか。国民や米兵の不安を鎮めるため、バスラでの激戦を先送りしたのか。真意は不明だが、米兵の死が決定に影響を与えた可能性はある。
ペンシルバニア州の米戦争大で戦略論を教えるジョゼフ・ヌネス米軍大佐は「バスラ攻略を一時踏みとどまったのは軍事的というより政治的な要素が強い」と語り、軍以外からの指令という見方を示唆した。
ただ、93年のソマリアへの米軍介入時のように戦死者で米政権がひるむ事はなく「むしろ戦死を機に国内の戦争支持、結束力は強まる」(米ブルックキングズ研究所のポラック上級研究員)という声が大勢を占める。
フィッシャー大統領報道官は24日、ブッシュ大統領が捕虜の映像を目にしたか、何度も聞かれ「(自分が会った時点では)見ていなかった」と明言を避けつつも、「戦死者が出て、昨日(23日)はタフな一日だった」と本音を漏らした。
[毎日新聞3月25日] ( 2003-03-25-15:12 )