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【ワシントン24日共同=久江雅彦】イラクの首都バグダッドへの米英軍の進撃について、米国内には「バターをナイフで切るほど容易」(米シンクタンク研究員)との予測も出ていたが、南部ナシリヤでの二十三日の戦闘では米海兵隊員約十人が死亡するなど、米英軍はゲリラ戦術で挑むイラク軍に苦戦している。
ラムズフェルド米国防長官は「(進撃は)予定より早く進んでいる」と強調したが、ゲリラ戦を警戒して進撃を遅らせる可能性もあり、バグダッド攻略へ向けた戦術の修正も迫られそうだ。
バグダッドまで約百六十キロと迫る中部ナジャフには、米陸軍の第三歩兵師団第二旅団が進撃中。しかし、ナシリヤはナジャフの南東約二百キロに位置しており、後方地域を完全に制圧していない実態が浮き彫りになった。
米中央軍司令部の高官は「二十四日に首都周辺へ到達すると考えるのは早計だ」と指摘。イラク側の奇襲を警戒しながら、慎重に首都包囲作戦を進める方針を示した。
米国防総省は当初、イラクがフセイン大統領に近いとされる特別共和国防衛隊や支配政党バース党の私兵部隊サダム・フェダイーン(サダムの戦士)でバグダッドを防衛し、その他の地域には一般兵を配置していると分析していた。
しかし中央軍司令部によると、ゲリラ戦を仕掛けているのは同防衛隊やサダム・フェダイーンとみられ、降伏すると見せ掛けて発砲したり、市民になりすまして一般車両から米軍に攻撃。南部ウムカスルでは、共和国防衛隊約百二十人が米軍と交戦したという。
国防総省筋によると、米軍は陸軍第三歩兵師団や第一海兵遠征軍を中心とする地上軍が攻撃機による支援を受けながら、バスラ、ナシリヤ、ナジャフに進撃。首都包囲に備えた後続部隊や補給部隊がこれに続く。
ナシリヤを通過する地上軍は、チグリス川沿いの中部要衝で首都の南東約百五十キロに位置するクートを経由してバグダッドを目指すとみられる。
米軍事専門家の間では「フセイン政権がクートにも特別共和国防衛隊を投入して地上戦を挑んでくる」との見方があり、首都進撃が停滞する可能性は否定できない。
(了) 03/24