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「なぜ、空爆か」 アラブの怒り、爆発寸前  [朝日新聞]
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 22 日 18:45:03:


 米国による2日目の空爆が始まったのは、バグダッド時間の21日午後9時前、アンマンやカイロでは午後8時前だった。中東各地のテレビのゴールデンタイムは、バグダッドの中心部に容赦なく降り注ぐミサイル攻撃と燃え上がる火柱を映し出した。今回は中東のほとんどの国のテレビがバグダッドにテレビカメラを置いている。「民衆を標的にした戦争ではない」という米国の主張は、テレビの生々しい映像によって崩れていく。

 「イラクの人々が被っている苦難と災難に対して、あなたたちが感じている怒りと痛みは私も分かる。私もあなたたちと同じだ。わたしも皆と同様に感じている」。この夜、ヨルダンのアブドラ国王が国営テレビで国民に向けて演説した。親米国家の元首として、米国批判を口にしなかった国王としては、異例の演説だった。

 アンマンでは、この日は開戦後初めてのイスラム教の金曜礼拝があり、市中心部のモスクで礼拝後に人々が「反米」を叫んでデモを始め、警棒を持った警官隊と衝突した。市内にあるパレスチナ難民キャンプのモスクでは、群衆に警官隊が催涙弾を撃った。

 国王は99年に前フセイン国王の死去に伴い王位を継承し、まだ4年しかたっていない。人口の6割を占めるパレスチナ人を抱え、根強い反米感情を治安対策で抑え込んできた。しかし、この日のイラク攻撃に対する「怒りと痛み」を表明する国王の言葉には、高まる民衆の怒りに対する危機感がにじんでいた。「我々はこの戦争を出来る限り速やかに終わらせるよう、あらゆる手を尽くす」と誓った。

 アンマンだけではない。もう一つの親米国エジプトの首都カイロでも、この日はイスラム世界の権威のアズハル・モスクや、市中心部のタハリール広場で反米デモが警官隊とぶつかった。米国の対テロ戦争に協力し、過激派対策を強めるイエメンの首都サヌアでは、デモ隊に死者が出た。

 空爆に対するアラブ民衆の怒りは、イラクがクウェートに侵攻して起きた91年の湾岸戦争時とは明らかに異なる。

 イラクは今回、国連による大量破壊兵器の厳しい査察にも応じた。違法とされたアッサムード2のミサイル廃棄も実施した。「米国の攻撃を受ける理由がどこにあるのか」というのが、アラブ民衆の思いだ。フランスやドイツの指導者が戦争に反対しているのに、米英の言いなりに35万人の軍の展開を認めた湾岸諸国や、ほとんど沈黙していた親米のアラブ指導者たち。これらの指導者への不満と空爆の映像により、アラブの民衆の怒りは爆発寸前まで高まっている。

(03/22 12:47)

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