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イラク戦争とEUの国際関係・トルコ問題-森田浩之
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投稿者 愚民党 日時 2003 年 3 月 22 日 16:02:24:

イラク問題とEUの国際関係

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「古い欧州」

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   2月10日のNATO会議で、フランス、ドイツ、ベルギーが、米国が提出したイラク戦争の際のトルコ防衛の要請に反対した。NATOは全会一致が原則であるため、これは事実上の拒否権に当たる。
 すでに、前週から仏独が米国のイラク攻撃に猛反発しており、ラムズフェルド米国防長官はイラク攻撃に賛成する英国、スペイン、イタリアおよび東欧を「新しい欧州」と名づける一方、これらの国々を「古い欧州」と揶揄した。
 また、2月9日にドイツで行われた防衛会議で、ドイツのフィッシャー外相が壇上から、すぐその下にいるラムズフェルド氏に対して、英語で「イラクの脅威が差し迫っていることなど、とても信じられない」と激しい口調で米国の政策を批判した。その際のラムズフェルド氏は苦虫を潰したような顔をしていた。
 欧州内の対立

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   このような大きな亀裂はNATOの今後にも大きな影響を与えるだろうが、どちらかと言えば、欧州同盟(EU)の方に大きな影響があるだろう。
 第一の理由は、NATO拡大が一段落した一方、EU拡大の方がこれからの争点になるためだが、さらに、米国、欧州双方にNATO軽視の風潮がある。欧州側の軽視の理由はフランスが提唱する欧州防衛構想。一方、米国は9・11直後のNATOの集団自衛宣言を鼻であしらった。
 このようにNATOが徐々に影響力を失う一方、EU内の対立が先鋭化。特に、現在、ジスカール・デスタン元仏大統領を議長とする憲法委員会が開かれているが、これを中心にEUの将来像を巡って、各国が対立。
 トルコ問題

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   争点は二つ。(1)欧州の代表者を誰にするか。(2)トルコをどうするか。後者から。
 米国はトルコを中東対策の拠点にするという思惑から、トルコを大事にしたい。トルコはEUに加盟することで、経済的に拡大したい。すると、米国はEUにトルコを受け入れさせたい。英国はいつも米国と共同歩調だから、これに賛成。
 一方、ドイツはすでにトルコ移民に頭を悩ませているが、トルコのEU加盟で国境線が消滅すれば、さらに多くのトルコ人がドイツにやってくる。現時点で失業に困っているため、トルコ人の大量流入はさらにドイツ社会を混乱させる。
 フランスの思惑はもっと複雑。すでにジスカール氏がEU憲法にキリスト教精神を含めるべきと提案しているように、フランスはEUをキリスト教共同体にしたい。無宗教とはいえ、基本的にイスラム教国のトルコはこの精神に合わない。
 欧州の顔

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   次に(1)の問題だが、現在、EUには欧州委員会と、councilの二つの統治機構がある。前者はブリュッセルを拠点とする欧州の官僚組織。後者は各国の大統領・首相および各大臣で構成され、その頂点には、6ヵ月任期で各国間を転々とする議長がいる。
 前者のpresidentはプロディ元伊首相。その下に、外務担当、経済担当、農業担当などの委員(commissioner)がいる。これらは、ストラスブールにある欧州議会で討論に応じる。後者は持ち回りで、現在(2003年前半期)はギリシアが議長国。  
 二人の外相

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   欧州はこのようにかなり複雑な形態をしているが、特に問題なのが、EU全体の国際社会に対する顔。つまり、もしEUが一つの統治機構として機能するなら、対外的にも「顔」を統一しなければならない。EU全体に一人の「外務大臣」がいなければならない。
 すでに、欧州委員会には、対外問題担当委員(現在はパッテン元英保守党議員)がいるが、氏には欧州議会への報告義務があり、各国政府とは関係がない。
 が、特に大国政府は欧州委員会・欧州議会ではなく、councilに大きな権限を持たせたい。よって、councilを代表する対外代表を創設。現在はソラーナ前NATO事務総長。
 すると、例えば、G8サミットやアジア・欧州会議などには、ソラーナ、パッテン両氏が出席する。なぜ両者が出席するという奇妙なことが起るかというと、前者がcouncil、つまり各国政府に対して報告義務があるのに対し、後者が欧州議会に対して報告義務があるため。どちらかが欠ければ、そちらが軽視されたことになる。
 大国と小国の対立

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   大国、特に英、仏、伊、スペインは各国政府の権限を残したい。一方、元々のECの原動力だった独およびオランダ、ベルギーなど小国は欧州委員会の権限を強化したい。
 大国はEUを各国の連合体のままにしておきたい一方、小国はEUを事実上の合衆国にしたい。すると、前者はcouncilを中心にした意思決定を望み、後者は欧州委員会・欧州議会を中心にした意思決定を求める。
 さらに奇妙なことがある。欧州委員会には欧州議会への報告義務があるが、presidentおよび各委員は各国政府の承認を得ているだけで、欧州議会で選出されてはいない。
 大国側の意向はcouncilの権限強化。そして、外相だけでなく、EUのpresidentをも創設しようという話が出ている。つまり、各国政府の意向を代表する人。既述のように、councilの議長は現在六ヶ月任期の持ち回りだが、これでは統一した行動が取れないため、恒久的な代表者を創ろうということ。特に英国が積極的。
 一方、小国側はcouncilを弱める・廃止する一方、欧州委員会のpresidentおよび各委員を欧州議会による直接選出にしたい。
 各欧州議員は、各国人口に比例して、各国民により直接選出されている。つまり、欧州議会の権限を強めれば、各国政府を飛び越して、直接各国民の意思がストラスブール、ブリュッセルに反映される。各国の国境線は残されるものの、各国元首は各州の知事程度の役割になり、これでEU全体の連邦制が確立される。
 英仏独の対立

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   英仏の対立は数百年の伝統であるため、今更驚くことではないが、最近深刻化している。まず、上の「欧州の顔」を巡って、英対仏独という構図ができあがった。フランスは元々英国と同じcouncil派だったが、農業大国で、自国への補助金を維持し、自由化に反対するフランスは自分の意向を飲ませるため、ドイツを抱き込んだ。
 ドイツは農業問題でフランスに譲歩し、councilのpresidentを受け入れる一方、フランスに対して欧州委員会・欧州議会の権限拡大を承認させた。
 これはまったくの妥協の産物。というのも、councilのpresidentと権限が拡大した欧州委員会のpresident(議会で選出されれば、権限が拡大する)の意向が対立した場合、EU全体が行き詰まるから。これはまったく問題の解決になっていない。それどころか、すでに身動きが取れなくなっている欧州の意思決定がさらに硬直化する。
 次に、ジンバブエ問題で英仏が対立。英政府は人権問題に関して、ムガベ政権に抗議しており、これを反映して、欧州全体でムガベ大統領の欧州への渡航禁止を決めているが、2月13日にパリで開かれるアフリカ会議に、仏政府はムガベ大統領を招待。
 英国から見れば、シラク氏の嫌がらせのように見えるが、フランスの本心は、ムガベを招待した会議を開催することでアフリカへの影響力を維持すること。特に、フランスはアイボリーコーストに派兵しているため、この解決にアフリカ全体の協力が欠かせない。
 そして、今度のイラク問題。整理すれば、まず仏独露で、米英に対抗するイラク対策を提案。軸は査察団の数を三倍にし、空からの偵察を強化し、国連軍を派遣することだが、ブリックス査察団長が述べるように、問題は「査察団の数」ではなく「イラク側の協力」。米英から見れば、遅らせ戦術にしか見えない。
 次に、NATOでの仏独ベルギーの拒否権行使。
 欧州における英国の位置

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   フランスの米国嫌いは周知の事実だし、英仏の対立はいつものこと。だが、これほど英国の意向が欧州で通らないというのは、英国がユーロに参加していないため、という見方が出てきてもおかしくはない。
 しかし、私はより根本的な問題が背景にあると考える。まずは、フランスの基本的スタンス。彼らは自分たちが世界の中心にいると思っている。そして、自分たちのやることが必ずいつも正しいと考えている。すると、同じように考える米国と対立するもの当然のこと。そして、基本的に米国と同じ考えを持つ英国と対立するのも必然的。
 英国は自分たちのことを「アングロサクソン」と呼び、絶対に「ヨーロッパ」とは呼ばない。また、対岸のことを「大陸」と呼び、自分たちといつも一線を画す。
 この心理はフランスにもあり、彼らは自分たちが欧州の中心だと考えており、海峡の対岸は別世界だと見なす。さらに、歴史上初めてドイツと手を組むことで、そして、少なくとも政治的にはドイツを支配下に置くことで、欧州を自国の意向で動かそうする。
 フランスはNATOとは別に欧州独自の防衛構想を模索しているが、これなどはその典型。つまり、フランスは戦後を終わらせ、米国抜きの欧州を目指す。
 一方、英国は米国と共同歩調を取ることで、自国を実物以上に大きく見せてきた。最大の背景は、やはり同じ民族であり、同じ言語を使い、今でもまだ似た文化を共有していること。いくら双方が相手の悪口を言っても、根が同じであることは理解している。
 このような背景がある限り、米国と欧州が対立すれば、英国は米国に付くだろう。そして、米仏が自分だけが正しいと思い、対立し続ける限り、英仏も反目を続ける。
 一つの対立点はイスラエル問題。米国ではエスタブリッシュメントの一角をユダヤ人が占める。一方、フランスには元々反ユダヤ的な考え方があるが、さらに、昔アフリカを植民地化していたという歴史から、イスラム系の人々が多い。
 このため、自爆テロが続くにもかかわらず、フランスにはパレスチナに対する同情心がある。一方、米国、特にブッシュ政権はパレスチナとの交渉にさえ応じない。
 このように、米仏間には、元々の歴史的・文化的違いがあり、両国の対立はなかなか消えない。そして、くり返すが、米仏の対立がなくならない限り、英仏の対立も永遠に続く。
 ユーロ不参加が英仏対立の火種というよりは、ユーロ不参加も、EUの将来を巡る対立も、すべて同じ根(歴史的・文化的相違)から来ている、というのが順当な解釈だろう。

森田浩之

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イラク戦争それはトルコとイランおよび
周辺起動である。
すでにトルコは起動している。

アメリカ帝国とアングロサクソンによる
侵略戦争はすでに中世から古代の時間への扉をあけてしまった。
時間のリンクである。
オスマン・トルコ帝国・ペルシャ帝国。
アメリカ帝国は中世から古代の帝国遺伝子と模倣子を
覚醒起動してしまった。
これが無自覚と歴史無防備のブッシュ・ネオコンによる
侵略戦争である。
ローマ帝国が東西に分解したように
アメリカ帝国の分解はすでに起動している。

バクダット占領はいよいよ超古代を起動させてしまうであろう。
中南米アメリカ大陸からの反乱である。
そしてアジアが続く・・・・

愚民党

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