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もう開戦になってしまった。一般人の被害が最小限であることを心より祈っています。サダム=フセイン自身は独裁維持のため多くの人を殺しすぎたので葬られても自業自得かも知れないが、毎日一生懸命生活をしているイラク国民には安全で安定した幸福な生活を送る権利があります。一刻も早い戦争の終結と平和を願ってやみません。
私は仕事の関係で湾岸産油国との取引が少なくないのですが、あまり一般にふれられていない側面をご紹介したいと思います。
湾岸産油国といわれるのはイラン、イラク、サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)クウェート、バハレーン、カタールですね。この中で人口の半数以上が当該国の国籍をもった自国民である国は?また王制でない国は?
答えはイラクとイランの二つです。それ以外の国は王国でシェイクと呼ばれる首長が治めており、シェイクの親玉が国王です。元来が裁くが多く人口も少ない地域だったので、石油の富によってインド、パキスタン、トルコ、アフガンなどから外国人労働者を数多く雇い、ほとんどの湾岸産油国では人口の半分以上が外国人労働者という状態で、UAEなどは8割が外国人なのです。
しかしイラクとイランはアラビア人とペルシャ人という民族の違いが有れど、国土の全部が砂漠地帯ではなく食糧自給に必要な程度の農業もできるくらいで、石油以外にも産業があり、しかも労働者はほとんど自国籍の国民でまかなっています。
となるとやはり他の湾岸諸国と大きくちがう国民性は、何でも自国民で行うということです。他の湾岸諸国ではエンジニアなどはインド人まかせ、メイドさんはフィリピン人任せといった自国民が金持ちですぐにお金で他人に頼む癖がついている。たとえばサウジなどは今の若い日本人以上に仕事の選り好みが激しく汗を流すような仕事はやらない。そのくせ若年者の失業率は20%ちかいようです。石油の富で一時は金ぶくれとなったが、石油以外の産業を興すことが出来ず苦しんでおり、海外からの投資による産業誘致だのみですが、そのくせ「投資させてやる」といった高飛車な態度であるのであまりうかくゆかない。
これからみればイラクとイランは健全であるように見えます。しかしアメリカやイギリスからすればこのような国は石油も軍事力も両方を兼ね備えた手強い国という印象が強いと思います。(このような考えが良いか悪いかは別の話として)だからアメリカで悪の枢軸と言われている国の多くは反米であってイラクやイランのようなパターンの国が多いと思います。
イランもイラクも経済制裁で石油設備に必要なハイテクを輸入できず大変な苦労を強いられています。例えば油田の油井からの原油の流量を調整してパイプラインにつなく技術が1970年代当時のままなので、原油を採掘してもロスが多く、また原油が減った油田に圧力をかけて原油の吸出しを行うにも技術が古いので、仕方ないから原油より比重の重い海水をぶち込んで原油を浮かせているのですが、海を汚すのと(油田地帯の飲料水などの水は海水の脱塩化によってまかなわれているので海水の汚れは致命的なのです)油田内の設備が海水の塩分で錆付いてしまい、二度とつかえなくなります。
そこの隙間を突いて利権を持とうとしているのがフランスとロシアなのですが...これらの欧州の国々は原油の買い付けの通貨がドルのみであるところをユーロとの並立か一本化にしようと画策しています。欧州においてユーロの一本化を快く思わない国は英国とスペイン、そして石油のユーロ決済になったらユーロ調達で不便を強いられるオーストラリアとわが国日本です。
中国も同じくユーロ決済であれば不利ですが、ミサイルなどの兵器や場合によっては核兵器を提供して原油の代価ともできるのでイラク侵攻には消極的な反対です。核兵器が代価といえば物騒ですが、現に北朝鮮の核開発のスポンサーは中国ですし、パキスタンの核兵器はサウジがスポンサーで代金を立て替えて中国から購入した。それからサウジの大陸間弾道ミサイルは中国製で、サウジには千人くらいの中国兵がエンジニアという名目でミサイルのメンテナンスのために駐在しています。(これらはあまり知られていない事実ですが)ただし現実に今イラクに核を提供すれば、中国もただでは済まされず中国を支持する国も減るので不可能ですが。しかし現状をみるとアメリカの表現を借りていうならば、中国の方が本当の悪の枢軸ですね。中国も産油国ではあっても設備が悪いのと油田が内陸なので運送費が高くて産油の効率が悪く、原油も軽質分の少ない20度cの室温で豆腐のような扱いにくい代物です。だから中東からの原油輸入に大きく依存しています。サウジからは6000万キロリットルも輸入しており、これは20万トンタンカー300隻分に相当します。ほぼ毎日アラビアンライト原油を積んだ中国タンカーが入港している状態ですね。多分日本の石油輸入全体の何分の一に相当する量でしょう。