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【ワシントン=菱沼隆雄】イラクのフセイン政権打倒を目指し、ブッシュ米政権が踏み切った対イラク攻撃は、大量のハイテク兵器を投入した大規模空爆になるとともに、政権中心部に狙いを定め一気に政権転覆を図るものになった。
ステルス戦闘機F117やB52爆撃機、巡航ミサイルを投入しての空爆は、国防総省筋によると、開戦後の48時間で約3000の戦略拠点を狙うものになる。
これは開戦後の24時間で約150の拠点空爆を行った91年の湾岸戦争の約10倍の規模。米軍の精密誘導兵器は湾岸戦争時の約7%から現在は90%を越えており、「破壊に加え麻痺」の効果を最大限に引き出すことで、イラク軍を一気に壊滅状態に追い込み、短期戦での勝利に結びつける戦略だ。
AP通信によると19日の開戦は、イラク政権指導部が、車でバグダッド市内を移動しているとの情報をキャッチして、空爆で殺害するチャンスだとの判断が出たことから、引き金が引かれたという。
ブッシュ政権はイラクの大量破壊兵器開発能力を取り除くためには、フセイン政権の打倒が不可欠との立場をとっている。政権内には国際テロ組織アル・カーイダを率いるビンラーディンと比べ、フセイン大統領には国際ネットワークもカリスマ性もないことから、「捕獲、殺害が求められるビンラーディンとは違って、権力の座から追い落とせばフセインの脅威は除去できる」との見方もあった。しかし政権幹部を直接狙う空爆などは、「フセイン大統領も含めた指導部の排除」という戦争目的を、最も明確な形で示している。
空爆では、大統領宮殿やバース党本部など指導部が関与する「約50の政治拠点」(国防総省筋)も重点的に空爆の標的になると見られる。また、19日のUSAトゥデー紙は「米軍がフセイン殺害を目指し特殊部隊のデルタ・フォースをバグダッド郊外に潜入させる」と伝えた。
国防総省筋や米メディアによると、今後は空爆に続き、「つなぎ目のない形」で地上戦に突入する。
空からの支援を受けながら、クウェートに駐留する海兵隊が英軍とともにイラク南部の要衝バスラなどを制圧。バグダッドへは同じくクウェートに駐留する第3歩兵師団が迫る予定だ。
当初は第4歩兵師団が北部から進撃し、南北からの挟撃作戦を行う予定だったが、トルコが米軍駐留を認めなかったため断念。かわりにクウェートに駐留する第101空てい師団が、開戦と同時に北部に展開すると見られている。
フセイン大統領が特別共和国防衛隊などの精鋭部隊を中心に市街戦に持ち込む構えのバグダッドの攻防戦などを考慮すると、緒戦の空爆で思惑通りの成果をあげられるかどうかが、ブッシュ政権が目的とする短期戦での勝利を占う序盤でのカギとなりそうだ。
(2003/3/20/13:46 読売新聞 無断転載禁止)